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【京都の社労士コラム】正しい保険料率で給与計算ができていますか?~令和6年度の雇用保険料率および健康保険料率~

2024年03月26日

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A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。


 このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。

 今回のテーマは「令和6年度の雇用保険料率および健康保険料率」についてお送りいたします。
 先月、厚生労働省より令和6年度の雇用保険料率が発表されました。令和4年度および令和5年度はそれぞれ前年度から引上げとなっていましたが、令和6年度は前年度(令和5年度)と同率となりました。
 また、協会けんぽからは令和6年度の都道府県単位健康保険料率が発表されました。令和6年度の健康保険料率は神奈川県を除く46都道府県で変更が発生し、引下げが22都道県、引上げが24府県となっています。

 以下に令和6年度の雇用保険および健康保険の料率をまとめましたので、基本情報を含め、自社の給与計算における保険料の計算が正しく行われているか、また4月以降の対応をふまえてご確認下さい。

令和6年度 雇用保険料率


(出典)厚生労働省『令和6年度の雇用保険料率について』

 令和6年4月1日から令和7年3月31日までの雇用保険料率は令和5年度と同率となります。

雇用保険の計算方法

 雇用保険料の対象となる賃金は、税金や健康保険料などの社会保険料を控除する前の総支給額に雇用保険料率を掛けて求めます。

給 与 雇用保険料 = 給与支給額 × 雇用保険料率(従業員負担)
賞 与 雇用保険料 = 賞与支給額 × 雇用保険料率(従業員負担)

【雇用保険料の計算例】
一般の事業の従業員(令和6年4月~)の給与から控除するとき
基本給325,800円 / 扶養手当20,000円 / 通勤手当15,000円 

(計算方法)
325,800円+20,000円+15,000円=360,800円
360,800円 × 6/1,000 = 2,164.8円
→雇用保険料:2,165円(50銭1厘以上のため端数切り上げ)

雇用保険料の申告と納付方法

 雇用保険料の申告と納付は、毎年6月1日から7月10日までのあいだに申請する年度更新で行います。年度更新では、労災保険と雇用保険の2つの保険の総称である労働保険の保険料を計算します。
 具体的には、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間(「保険年度」といいます)を単位として計算し、すべての従業員(雇用保険の場合は被保険者)に支払われる賃金総額に、その事業ごとに定められた保険料率を掛けて計算します。
 保険年度ごとに概算で保険料の申告と納付を行い、保険年度末に賃金総額が確定した保険料の申告と納付をする、そのひとつのサイクルを総じて年度更新といいます。
 雇用保険料の従業員負担分は毎月の給与や賞与から徴収し、年度更新のタイミングで支払うことになります。
 なお、年度更新で計算した労働保険料の納付には「現金納付」「口座振替」「電子納付」の3つの方法があります。現金納付と電子納付を行う場合の納付期限は、毎年7月10日(納付期限が土曜日・日曜日の場合は、翌月曜日)です。ただし、一定の条件を満たした場合は、延納(分割納付)により、最大3回に分けて納付が可能です。
 口座振替による納付の場合は、納付日(引落日)が毎年9月6日(土曜日・日曜日の場合は、金融機関の翌営業日)のため、保険料の引き落としには最大2か月のゆとりができます。

【口座振替による労働保険料の納付日(引落日)】

(出典)厚生労働省『労働保険料は口座振替が便利です!』

 口座振替は、金融機関の窓口に行く手間や待ち時間の解消がされ、納付漏れも防止できるためおすすめです。

令和6年度 健康保険料率

 協会けんぽからは、令和6年度の都道府県単位健康保険料率が発表されました。令和6年度の健康保険料率は神奈川県を除く46都道府県で変更が発生し、引下げが22都道県、引上げが24府県となっています。
 介護保険料率は、全国一律で令和5年度の1.82%から0.22%引下げとなり、令和6年度は1.60%となります。【令和6年3月分(4月納付分)から適用されます。】

【令和6年度と令和5年度の保険料比較(一部抜粋)】
都道府県 令和6年度 引上げor引下げ 令和5年度
京都 10.13% 引上げ 10.09%
大阪 10.34% 引上げ 10.29%
兵庫 10.18% 引上げ 10.17%

(引用)協会けんぽ『令和6年度都道府県単位保険料率』

健康保険料の額とは

健康保険料の額は、次の計算式で求めます。
健康保険料 = 標準報酬月額 × 健康保険料率
健康保険料 = 標準賞与額  × 健康保険料率

従業員が40歳から64歳までの場合は、健康保険料に上乗せする形で介護保険料を支払います。
介護保険料 = 標準報酬月額 × 介護保険料率
介護保険料 = 標準賞与額  × 介護保険料率
上記で求めた保険料額を企業と従業員で折半します。

【標準報酬月額】
 標準報酬月額とは、社会保険料を計算しやすくするために報酬月額の区分ごとに設定されている、基準となる金額をいいます。現在、58,000円(第1級)から1,390,000円(第50級)までの全50等級に区分されています。
標準報酬月額の決定方法は、下記の5種類です。
・資格取得時決定
・定時決定
・随時改定
・育児休業等を終了したときの改定
・産前産後休業を終了したときの改定

【標準賞与額】
 標準賞与額とは、賞与にかかる保険料を計算するときの元となる金額で、賞与の支給総額から1,000円未満を切り捨てて算出します。標準賞与の対象となる賞与は、名称に関係なく従業員に対して労働の対象として支払う年3回以下のものをいいます。
 標準賞与額には上限があり、健康保険は年度(4月1日から翌年3月31日)における累計額573万円です。

【端数処理について】
 従業員負担分に端数が生じた場合は端数が50銭以下の場合は切り捨て、50銭を超える場合は切り上げて1円とします。
※ただし、企業と従業員のあいだで「端数は企業負担とする」などの特約がある場合は、特約に基づき端数処理ができます。

都道府県単位の保険料率とは

 協会けんぽの健康保険料は、各都道府県により保険料率が異なります。各都道府県の保険料率は、地域の加入者の医療費に基づいて算出されており、都道府県ごとに必要な医療費(支出)が異なるため、保険料率に差が生じます。つまり、疾病予防などの取り組みにより都道府県の医療費が下がれば、その分都道府県の保険料率も下がることになります。

 保険料率は毎年度改定され、都道府県によって「引上げ」「据え置き」「引下げ」に分かれます。医療費を下げる取り組みが、保険料の負担を左右するのです。
 なお、健康保険組合では各組合によって保険料率が定められているため、都道府県単位の保険料率が適用されているのは協会けんぽのみです。下記のサイトより、各都道府県の保険料率を反映した保険料額表が公開されています。

(参考)協会けんぽ『令和6年度保険料額表(令和6年3月分から)』

保険料の納付手続と納付期日

 企業は、企業負担分と従業員負担分をあわせた保険料を協会けんぽに納付する義務があります。
 この場合、従業員が負担する分については、企業は従業員に支払う給与や賞与から保険料を控除できます。従業員の負担する保険料を給与や賞与から控除したときは、給与明細などに記載し従業員に通知しなければなりません。

【納付期日と納付方法】
納付期日:翌月の末日
納付方法:銀行・郵便局等金融機関窓口、口座振替、電子納付(Pay-easy)

 納付日までに納付を行わない場合、期限を指定した督促状が送られてきます。督促状の期限までに納めないと、延滞金が課され、財産差押えなどの滞納処分を受けることにもなります。

まとめ

 雇用保険では支払った保険料は失業時や育児休業時の給付などに充てられ、また雇用調整助成金など雇用安定の維持にも必要な財源となります。健康保険料は被保険者に対して、疾病、負傷、出産や死亡などの必要な給付や保健事業に用いられています。
 雇用保険料は据え置きですが、健康保険料率は変更となりますので、給与計算ソフトなどを導入している場合は正しい保険料率に置き換える処理を行う必要があります。
 労働者と企業にとって不可欠な保険制度を維持するためにも、正確な保険料計算を行い、安心して働くことのできる労働環境を整備しましょう。
                                        

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