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【京都の社労士コラム】2026年度の障害者法定雇用率『2.7%』見直しで思わぬ支払い義務が発生?

2023年05月18日

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 A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。

 このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。

 2023年1月18日に開かれた「労働政策審議会障害者雇用分科会」より、2026年までに障害者法定雇用率の段階的な引き上げが発表されました。
 2023年時点では43.5人未満では雇用義務の対応はありませんが、2024年には40人以上の会社に、2026年7月には37.5人以上の会社障害者雇用義務が生じるケースがあるため注意が必要です。
 また企業の規模により、障害者の雇用義務だけでなく、雇用する人数によって納付金の徴収調整金・給付金・報奨金の支給があります。

 今回は、段階的に引き上げとなる障害者法定雇用率について、企業がすべき対応や注意点についてご案内いたします。
 
2026年までの具体的なスケジュール

 2024年度以降の障害者法定雇用率は、以下のように段階的に引き上げられます。

 
 厚生労働省が当初に発表した案では、2024年4月より2.5%2026年4月から2.7%となっていましたが、企業側の準備期間を確保するために、当初の案より2026年のみ3か月先送りされ、2026年7月より開始されることになりました。

(参考):労働政策審議会障害者雇用分科会資料

対象となる企業の基準は常時雇用者の人数による

 障害者法定雇用率の引き上げにより、対象となる企業では障害者の雇用人数が変わります。
 常時雇用労働者の人数により、基準が変わるので注意が必要です。

 常時雇用労働者とは、正社員パート・アルバイトなど雇用契約の形式に関係なく、以下の条件を満たす労働者は「常時雇用労働者」となります。
1週間のうち所定労働時間が20時間以上
1年を超えて雇用される者(見込みを含む)
 なお、週20時間以上30時間未満短時間労働者については「0.5人」として計算されます。

※特殊なケースの例
 休職中の従業員
  契約が継続しているなら常時雇用労働者
 海外の支店・支社の従業員
  日本での雇用契約がある場合は常時雇用労働者
 派遣社員
  以下の条件を満たす場合は常時雇用労働者
  ① 1週間の所定労働時間が20時間以上
  ② 雇用期間が年間328日以上
  ③ 雇用契約期間中に離職もしくは解雇がない
  ④ 契約の終了から次の契約までの期間が3日以下

2026年では常時雇用労働者数37.5人以上

 2023年時点では、常時雇用労働者数43.5人に対して障害者を1人以上、雇用する義務があります。
 
 2024年度以降では、以下のように引き上げられる予定です。
2024年4月より
 40人以上の常時雇用労働者数に対して障害者を1人以上雇用
2026年7月より
 37.5人の常時雇用労働者数に対して障害者を1人以上雇用

※1人未満の端数は切り捨て

 各年度の障害者法定雇用率シミュレーション


障害者雇用にかかわる「納付金」と「給付金3種類」

 障害者法定雇用率が未達成の場合は「納付金」、達成している場合は「給付金」が支給されます。
   
 いずれも、期間は年度ごと(4月1日~翌年3月31日の12か月)に、各月の総数を基準に計算します。

障害者雇用率未達成の場合の納付金(計算方法)
 障害者法定雇用率が未達成の場合は「障害者雇用納付金」として、不足している障害者数1人あたり月額50,000円を納付する必要があります。
 対象は、常時雇用労働者100人超えの企業です。
計算方法
例:常時雇用労働者101人・障害者の雇用義務2人(障害者を1人雇用)

 障害者の雇用義務:2人  ➡  2人 ✖ 12か月 = 24人
 実際の雇用人数 :1人  ➡  1人 ✖ 12か月 = 12人
 24人 ー 12人 = 12人不足
 12人 ✖ 50,000円 = 600,000円納付

障害者雇用により支給される3種類の給付金(計算方法)
 障害者雇用により支給される給付金は、以下の3種類となります。


① 障害者雇用調整金
 障害者雇用調整金として、超過雇用している障害者1人につき月額27,000円が支給されます。
 対象は、常時雇用労働者100人超えの企業です。
計算方法
例:常時雇用労働者101人・障害者の雇用義務2人(障害者を3人雇用)

 障害者の雇用義務:2人  ➡  2人 ✖ 12か月 = 24人
 実際の雇用人数 :3人  ➡  3人 ✖ 12か月 = 36人
 24人 ー 36人 = 12人超過
 12人 ✖ 27,000円 = 324,000円支給

② 特例給付金
 特定短時間労働者(※)の障害者1人につき、特例給付金が支給されます。※週の所定労働時間が10時間以上20時間未満
 対象は、常時雇用労働者100人超え or 以下どちらも
 支給額は、常時雇用労働者の人数により変わります。
 100人超え月額7,000円
 100人以下月額5,000円
 また、雇用時間および雇用している障害者の人数により、支給額に上限が設定されています。 
【計算方法】
例:常時雇用労働者100人以下・所定労働時間20時間以上の障害者4人
  特定短時間勤務の障害者3人雇用

 20時間以上勤務の障害者:4人  ➡  4人 ✖ 12か月 = 48人
 特定短時間勤務の障害者 :3人  ➡  3人 ✖ 12か月 = 36人
 36人 ✖ 5,000円 = 180,000円支給

【計算方法】
例:常時雇用労働者100人以下・所定労働時間20時間以上の障害者4人
  特定短時間勤務の障害者5人雇用

 20時間以上勤務の障害者:4人  ➡  4人 ✖ 12か月 = 48人
 特定短時間勤務の障害者 :5人  ➡  5人 ✖ 12か月 = 60人
 48人 ✖ 5,000円 = 240,000円支給

③ 報奨金
 報奨金は、障害者法定雇用率上回っているときに支給されます。
 対象は、常時雇用労働者100人以下の企業です。
(B ー A)✖ 21,000円 = 支給される報奨金
A ➡ 「常時雇用労働者数4%の各月の総数」または「72人」のいずれ
   か多い数
B ➡ 常時障害者数の各月の総数
【計算方法】
例:常時雇用労働者100人・常時雇用障害者10人

 常時雇用労働者100人の4% = 4人
 4人 ✖ 12か月 = 48人    72人 > 48人
 常時雇用障害者の各月の総数
 10人 ✖ 12か月 = 120人
 (B:120人 ー A:72人)✖ 21,000円
                   = 108,000円支給
 ※短時間雇用労働者は1人につき「0.5人」で計算

 まとめると以下の表になります。


障害者雇用の課題

 障害者雇用には、3つの課題があげられます。
 ① 達成するまでの期間
 ② 選考基準
 ③ 業務に対する適性の判断

① 達成するまでの期間
 企業の規模による採用人数を把握したうえで、達成するまでの期間を逆算する必要があります。理由としては、障害者の採用人数が多い場合、適切な対応ができない可能性があるためです。

 一定の期間でまとめて募集、もしくは長期的に計画して募集するなど、柔軟な対応が企業には求められます。

② 選考基準
 障害者の採用を円滑に行うためには、障害の特性に合わせた対応が企業側に求められます。選考までの準備として、あらかじめ障害の状態を把握しておく必要があります。

③ 業務に対する適性の判断
 かりに採用しても、障害によっては業務内容に対応できない可能性があります。あらかじめ障害の特性を理解したうえで、適切な業務内容を検討しておくことが求められます。

まとめ

 障害者法定雇用率については、内容が複雑な制度であって今後も定期的に改正されるため、企業だけでは対応がむずかしいと思われるかもしれません。

 思わぬ形での雇用義務の発生支払いなどの対応に追われる前に、社会保険労務士法人にお気軽にお問い合わせください。安心して働くことのできる職場環境をつくり、企業を守るためのお手伝いをさせていただきます。

社会保険労務士法人は、法改正に対応した労務相談就業規則の作成・改定、労使協定の締結、種助成金の申請支援などを行っています。
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