なお、特定業務従事者の健康診断の
未実施や、従業員へ健康診断の
結果を通知していない、健康診断の結果を保管していないときは、法令等でそれぞれ50万円以下の罰則が課せられる可能性もあります。
【法令等で定まっている健診項目】(出典)厚生労働省『労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう』
特定業務とは
特定業務は法令等で定められており、従業員が携わる
業務や業務中に扱う有機溶剤等によって対象になるかどうかが決まります。企業の業種で判断されるわけではありません。
特定業務の中には「深夜業を含む業務」が含まれており、これは所定労働時間に22時~5時の時間帯を含んでいるかだけではなく、
残業で22時以降に勤務した日も含まれます。 健康診断が必要になるのは、特定業務従事者の健康診断実施日前に
1週に1回以上、または平均して月4回以上の深夜業があるときです。
業種問わず対象になる可能性があります。【対象となる特定業務】
労働安全規則第13条第1項第2号に掲げる業務
イ 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務ロ 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務ハ ラジウム放射線、エツクス線その他の有害放射線にさらされる業務ニ 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務ホ 異常気圧下における業務ヘ さく岩機、鋲打機等の使用によつて、身体に著しい振動を与える業務ト 重量物の取扱い等重激な業務チ ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務リ 坑内における業務ヌ 深夜業を含む業務ル 水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸
その他これ らに準ずる有害物を取り扱う業務ヲ 鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、
一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに 準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務ワ 病原体によつて汚染のおそれが著しい業務カ その他厚生労働大臣が定める業務
二次健康診断とは
二次健康診断は脳・心臓疾患の予防を目的とし、定期健康診断と特定業務従事者の健康診断(以下、一次健康診断)の結果で
一定の項目に異常所見があった従業員が、医療費の負担なく再度、健診や特定保険指導を受けられる制度です。
定期健康診断と異なり、
本人が受ける・受けないを決められるため、未実施であっても罰則はありません。 しかし、脳・心臓疾患の早期予防、早期発見につながるため、対象となった従業員へは健診を受けるよう働きかけてください。
健診を受けられる期間は
一次健康診断を受けた日から3か月以内、回数は
一年度(4月1日〜翌年3月31日)につき1回です。また、
脳・心臓疾患の持病がある、症状が出ている(病気の診断がある)従業員は対象になりません。
【異常所見とは】
一次健康診断の結果の数値が正常でない状態をいいます。一次健康診断の結果表に、異常なし以外の「要医療等」「要再検査」などの記載があったときは該当します。
二次健康診断の対象者は、以下のすべての項目で異常所見があると判定された従業員です。ただし異常なしと診断されているときでも、産業医等の意見により対象となることがあります。
1 血圧検査2 血中脂質検査3 血糖検査4 腹囲の検査またはBMI(肥満度)の測定【特定保健指導とは】
脳・心臓疾患を予防するため、二次健康診断の結果に基づき、以下の保険指導を行います。
栄養指導:適切なカロリーの接種等の食生活にかかわる指導
運動指導:必要な運動にかかわる指導
生活指導:飲酒、喫煙、睡眠等の生活習慣にかかわる指導
二次健康診断の勧奨
一次健康診断の結果を従業員へ通知後、
二次健康診断の対象となる従業員へ口頭または「
二次健康診断指示書(任意書式)」などで受診を促します。
二次健康診断は労災保険制度の1つで、費用はかかりません。従業員が健診を受けるときは、
企業が「二次健康診断等給付請求書」を作成し、従業員から病院へ提出を行います。
二次健康診断を受けられる病院は都道府県ごとに決まっています。以下のサイトより確認をしてください。
参考|厚生労働省サイト『労災保険二次健康診断等給付医療機関名簿』参考・ダウンロード|厚生労働省『二次健康診断等給付請求書』参考|厚生労働省『二次健康診断等給付の請求手続』二次健康診断の結果は、一次健康診断と異なり、病院から企業は報告の強制ができません。従業員は企業へ健診結果の報告義務がないので、報告を拒むケースもでてきます。
そのときは、
報告がなければ業務上の配慮などの対策ができないことなどを伝えて、提出を促します。
特定業務従事者の健康診断、二次健康診断の実施後の措置
特定業務従事者の健康診断、二次健康診断実施後に企業が行わなれければならない措置は以下になります。ただし
二次健康診断については、従業員から企業に結果報告されたときに限ります。
1 健康診断個人票へ記載健康診断個人票は健康診断の結果を個人ごとに記録する書類で、法令等で作成が義務付けられています。
2 医師等への意見聴取特定業務従事者の健康診断で異常所見があると診断された従業員、二次健康診断を実施した従業員については、医師へ就業に関する意見を聞く必要があります。
3 健康を保持するために必要な措置医師より就業に関する措置が必要と診断されたときは、診断内容に応じて就業場所や職務の変更、労働時間の短縮(時間外・休日労働の禁止、就業時間の制限など)、深夜業の回数削減などを行います。
(出典)愛知労働局『労働安全衛生法の定める健康診断事後措置等のあらまし』
まとめ
特定健診が行われるようになった背景には、内臓脂肪に起因するメタボリックシンドロームが生活習慣病の大きな原因になっており、その対策を行えば、医療費の削減にもつながると考えらています。
特定健診の結果、生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣を改善することで予防が期待できるとわかった場合には、特定保健指導という、専門スタッフ(保健師、管理栄養士など)による、生活習慣を見直すためのサポートが行われますので、詳しくは加入されている健保組合やお勤め先などにご確認ください。
A社会保険労務士法人でも健康診断、特定検診のご相談、その他の給与計算や勤怠管理システムなど職場環境の改善に関する支援や助成金活用の相談をいつでも受け付けております。
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