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【京都の社労士コラム】「36協定に違反した場合の罰則」とは??

2024年03月07日

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A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。


 このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。

 今回のテーマは「36協定に違反した場合の罰則」についてお送りいたします。

 36協定とは、企業と労働者が残業や休日労働などの時間外労働について合意のうえ締結するものであり、締結が無いままで時間外労働などをさせることは違反にあたります。
 また、協定違反になるケース、36協定の違反が発覚した場合、使用者は懲役や罰金などの制裁を受ける可能性があります。 最悪の場合には企業名が公表されることもありますので、この記事を参考に36協定違反に関する基本内容や事例、そして違反をしないための対策を確認しておきましょう。

36協定とは

 36協定とは、正式には「時間外労働・休日労働に関する協定届」といい、労働者と使用者(経営者や会社代表)間で交わす労使協定の1つです。
 労働基準法では1 日及び1 週間の労働時間並びに休日日数を定めていますが、これを超えて、時間外労働又は休日労働させる場合には、あらかじめ労働者代表などと協定を締結し、労働基準監督署に届け出ることが義務付けられています。
労働基準法第36条
(時間外及び休日の労働)
第三十六条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。

 労働基準法第36条であることから、本協定届は「36(サブロク)協定」という名称で呼ばれています。
【参考】労働基準法|e-Gov法令検索

時間外労働の上限規制

 法定労働時間である「1日8時間・週40時間」を超えるのが時間外労働となりますが、働き方改革関連法によって時間外労働の上限規制が設けられました。
★POINT! 原則として「月45時間・年360時間」は超えられない
※1年単位の変形労働時間制が適用される労働者については「月42時間・年間320時間」

 時間外労働の上限は原則として「月45時間・年360時間」を超えることができないというものであり、臨時的な特別の事情により上記の上限を超えて労働をさせる場合は「特別条項」付きの36協定を合意のうえ労使間で締結する必要があります。
 特別条項付きの36協定を締結した場合は「月100時間未満(休日労働含む)・年720時間・複数月平均80時間以内(休日労働含む)」が上限となり、これを超える労働については36協定の違反となってしまいます。
原則の上限 45時間
360時間
※1年単位の変形労働時間制が適用される労働者については「月42時間・年間320時間」
臨時的な特別の事情がある場合の上限
(特別条項)
100時間未満(休日労働含む)
720時間
複数月平均80時間以内(休日労働含む)

 原則である月45時間の上限を超える労働は、年6回までのみ可能です。上限時間を超えた労働を制限することで、労働者の過度な負荷を避け、適切な労働環境維持を図るために設けられた規制です。

 以下の事業は、2024年3月31日まで上限規制の適用が猶予されていますが、2024年4月1日以降は上限が適用されます。

【参考】時間外労働の上限規制|厚生労働省
【参考】時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務|厚生労働省
 
36協定を違反してしまった場合の罰則

 36協定を労働基準監督署へ未提出のままで時間外労働、休日労働をさせることや、36協定の内容を超える残業等をさせることは労働基準法違反となってしまいます。労働者の勝手な判断による時間外労働・休日労働が発覚した場合でも罰則を受けるのは企業側です。
 企業側が内容を理解しておくこと、および労働者への周知や労働時間の管理などをしっかり行う必要があります。
!6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金
万が一、提出せずに36協定を違反してしまった場合は労働基準法第119条1項に明記されている「六カ月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。」によって、使用者に罰則が科されます。

【36協定の違反になる事例】
36協定をそもそも締結しないケース

 36協定は締結後、届出を労働基準監督署に提出する必要があります。未提出である場合その36協定については無効力であるため注意しましょう。

36協定を締結していても、時間外労働の上限を超えるケース

 36協定の締結および労働基準監督署への届出がされている場合でも、実際に労働者が時間外労働の上限を超えて労働をしてしまうと法令違反です。そのため手続きに不備がない状態でも、時間外労働の上限である「原則月45時間、年360時間」を超えた労働をさせてしまった場合は36協定の違反になります

特別条項付き36協定を締結していても、休日労働で上限を超えるケース

 臨時的な特別の事情があり、時間外労働の原則上限を超えて労働をさせる場合は「36協定の特別条項」を合意のうえ締結しなければなりません。
 ただ、問題なく締結したあとも、休日労働を含む上限があるというポイントに注意が必要です。休日労働分をカウントしないままでいると特別条項適用後の時間外労働上限を超えてしまい違反となってしまう可能性があります。

★POINT! 特別条項の「月100時間未満」と「複数月平均80時間以内」には休日労働時間数も含みます。
 
 特別条項付きの36協定では「月100時間未満(休日労働含む)、年720時間、複数月平均80時間以内(休日労働含む)」が上限となります。このうち月100時間未満と複数月平均80時間以内は残業などの時間外労働と休日労働分も含みます。

労働者の通報で違反が発覚するケースも!

 企業において36協定違反が横行しているような場合、労働者は労働基準監督署に報告(通報)できます。
 労働者から労働基準監督署に36協定違反が報告された場合、労働基準監督署による調査がおこなわれ、36協定違反が発覚した場合は企業に対して是正勧告がおこなわれます。

 2023年2月には、学校法人の教職員1人に対し36協定を締結せずに約10分間の時間外労働を命じたなどとして、同法人と人事労務の部長が書類送検されたことが明らかになりました。

【出典】労基法違反で桐蔭学園を書類送検 横浜北労基署 | カナロコ by 神奈川新聞

36協定を違反しないための対策

 36協定の違反を回避するためには、労働者に対する周知・管理を徹底することが重要です。多くの場合、違反は36協定の内容が十分に理解されず共有されていないことや、企業が労働時間を適切に管理できていないことに起因しています。

では違反しないためにどんな対策ができるでしょうか。

【対策】

①「時間外労働をするときは事前に申出をするという手順を踏ませる」
 
 たとえば残業や休日労働をする場合は事前に申し出るようにする、など時間外労働について労働者によく周知しておくことが理想です。

②「勤怠管理システムの導入で労働時間管理を可視化する」

 各従業員の労働時間をちゃんと管理できる体制でない場合は、まず可視化できるように勤怠管理システムの導入が効果的です。
 可視化できれば必要・不要な業務の洗い出しができ、無駄な時間外労働(残業)を削減に繋がります。

 人的管理ミスによるリスクを回避するためには、勤怠管理システムの導入による時間外労働時間の管理がおすすめです。
 
                                               
A社会保険労務士法人では勤怠管理システムの導入支援を行っておりますので、是非ご相談ください。 
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まとめ

 36協定とは、時間外労働や休日労働をする際に、企業と労働者が結ぶ協定のことです。しかし、法定労働時間を超えた労働は原則的に認められておらず、36協定はあくまで例外的な措置に過ぎません。
 36協定の基本内容や協定の中身を理解せず運用してしまうと法令違反を犯してしまう恐れがありますので、企業は時間外労働の上限規制などについて正しく理解することが重要です。
 ITシステムなどを上手に活用して労働時間管理を適切に行って生産性の高い仕事ができるよう適切な労働環境・制度を整えましょう。
 
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 A社会保険労務士法人では、法改正に対応した労務相談や就業規則の作成・改定、労使協定の締結、各種助成金の申請支援などを行っています。
 
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