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【京都の社労士コラム】厚労省「労働経済の分析」からみる人手不足の打開策は○○だった!?

2024年02月15日

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A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。

このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。

 厚生労働省が毎年、前年の労働に関する現状や課題をまとめた「労働経済の分析」を発表おり、2023年9月に2022年のデータが発表されました。
その内容としては「持続的な賃上げに向けて」をテーマに分析が行われています。
社会や日常生活を一変させた新型コロナウイルス感染症の影響が落ち着き、今では求人倍率や転職者数などの雇用情勢は2019年以前の水準に迫ってきていますが、その一方で、賃金に関しては1990年代後半以降伸び悩んでいます。又、人手不足が大きな課題になっていたりと企業が抱える問題がいくつもあります。そこで今回は、厚生労働省の発表を基に、雇用情勢や企業が人手不足に対応するためのポイントにスポットを当ててご案内していきます。


現在の雇用情勢


①【雇用の過不足の状況】

 雇用の過不足の状況を産業別に見てみると、2021年以降はすべての産業で人手不足であることが分かります。新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の発出などの影響で経済が停滞したことにより、2020年・2021年には特に事業の継続が困難だった「宿泊・飲食サービス」や「製造業」を中心に大量の離職者が発生しました(完全失業率の増加)。その後完全失業率は低下していますが、現在もこの大量離職の反動で人手不足が続いています。
 
(出典)厚生労働省『令和5年版 労働経済の分析』P36

(出典)厚生労働省『令和5年版 労働経済の分析』P15

②【非正規雇用】
 雇用者に占める非正規雇用者の割合は増加傾向にあり、2022年には36.9%を記録しました。ただし、2020年・2021年は非正規雇用者数が前年に比べて減少していることからも、新型コロナウイルス感染症による大量離職の影響を見て取ることができます。

(出典)厚生労働省『「非正規雇用」の現状と課題』P1

③【転職者数(求職者数)】
2022年の転職者数は、3年ぶりに増加に転じました。新型コロナウイルス感染症の影響で離職を余儀なくされた労働者が、経済活動の再開に伴い、新たな仕事に就き始めたことが分かります。その中でも特に転職者に人気なのは一般事務の職業で、求人数に対して求職申込件数が大きく上回っています

(出典)厚生労働省『令和5年版 労働経済の分析』P40

(出典)厚生労働省『令和5年版 労働経済の分析』P38

④【消費者物価指数】
消費者物価指数
とは、消費者が日常的に購入する商品やサービスの価格の変動を示す指標です。2022年の消費者物価指数は全ての月で前年度から上昇し、12月の上昇率は4%となりました。上昇した背景には、ロシアによるウクライナ侵攻や円安の影響で原材料を輸入するコストが増加したことがあげられます。
その中でも特に、食料工業製品」「電気・都市ガス・水道は大きな影響を受けています。

(出典)厚生労働省『令和5年版 労働経済の分析』P68


賃金の動向

 日本の賃金は、名目賃金(※1)・実質賃金(※2)ともに1990年代後半から横ばいで推移しています。賃金が伸び悩んでいる背景には、非正規雇用(パート・アルバイトを含む)の増加があります。短時間労働の非正規雇用者が増えると、働いた時間に応じての賃金が減少するということになります。また、実質賃金が伸び悩む背景には、物価の上昇が関係しています。賃金の上昇率が物価の上昇率に追い付いていないため、実質賃金は伸び悩んでいます。

※1 名目賃金:支払われた給与額そのもの

※2 実質賃金:名目賃金から物価の上昇率を考慮して算出したもの


(出典)厚生労働省『令和5年版 労働経済の分析』P80


人手不足に対応していく為の企業の取組み

 人手不足の現状を打開するために、以下の2つに取り組むことが効果的です。

①【賃上げを行う】
 「求人条件による被紹介状況への影響(フルタイム)」の下記の表でもあるとおり、企業が求人を行うときに、最低賃金よりも5%以上高い賃金を設定すると、3か月以内に労働者からの応募を受ける可能性が10%程度上昇します。また賃金以外にも、「完全週休2日あり」や「ボーナスあり」などの条件を設定することで労働者からの応募の可能性を上げる事が出来ます。

さらに、賃上げは新しい人材を獲得しやすくなる効果だけではなく、既存の従業員に対しても良い影響があります。1年前より年収が増加した従業員は仕事への満足度が高まる傾向にあり、モチベーションUPに繋がります。

また、賃上げを行った企業の約20%が従業員の離職率が低下したと回答しています。
このように、賃金を上げることは新たな人材の獲得と既存の従業員の定着に効果があり、企業イメージの向上も狙える事から、人手不足への対応策としてはやらない手はないでしょう

(出典)厚生労働省『【概要】令和5年版 労働経済の分析』P11

②【企業の安定性をアピールする】
新型コロナウイルス感染症の影響で離職や転職をした方は、雇われても、またすぐに雇用調整の観点から勤務日数を減らされたり、退職を余儀なくさせられたりするといった不安から、安定した企業を探します。そのため求人を出すときは「離職率が低いこと」や、「毎年の昇給実績があること」、大手企業との取引実績があれば明記することで、企業の安定性をアピールできます。そのほかにも「創業○○年」と書くことで長く続いている企業であることのアピールになるため、求職者が安心して応募することができます。


まとめ

 新型コロナウイルス感染症の影響により発生した大量離職の反動で、労働市場全体で人材不足が深刻化しており、労働人口の減少からも更に加速していきます。
また、離職を余儀なくされた労働者は、失業・離職等の不安から、安定して働けることを求めています。そんな労働者から選ばれる為には『賃金』は重要なポイントになります。もちろん働き甲斐や働きやすさなども重視はされますが、昨今の急激な物価高の影響からも、労働者にとってやはり『賃金』は重要な要素となります。

企業としても、賃金アップは新たな人材の確保だけでなく、既存の従業員のモチベーション向上・離職率の低下にも大きな期待が持てます。しかし、企業側も物価高の影響で財政的に厳しい局面を迎えていることから、人件費を増やすことは簡単ではありません。コロナ禍を経て社会情勢が大きく変化した今、賃金体系や人事評価制度の見直しなど「ヒト」に関する仕組みを新しく構築することを検討してみてはいかがでしょうか。


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