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【京都の社労士コラム】「副業・兼業を許可する前に知っておくべきポイント」

2023年10月26日

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 A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。

 このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。

 今回のテーマは、「副業・兼業を許可する前に知っておくべきポイント」についてお送りします。

 国は、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」にて副業・兼業を希望する労働者の健康確保や労働時間管理のルールを明確にし、副業・兼業の普及を促進しています。
 厚生労働省が公開している統計によると、全面禁止している企業も多いですが、条件付きも含め半数近くは認めていることがわかります。


(出典)厚生労働省『副業・兼業の促進に関するガイドラインの改定案について』P5

 今回の記事では、労働者から「副業・兼業」の許可を求められた際に企業が副業・兼業に関して知っておくべきポイントについてお伝えします。

動画解説(3分20秒)是非ご覧ください。
<画像をクリックすると動画を視聴できます>※倍速視聴も可能です。


副業・兼業は認めないといけないのか

 労働者が、労働時間以外の時間をどのように利用するかは労働者の自由です。そのため労働者の希望に応じ、原則副業・兼業を認める方向での検討が望ましいとされています。
 しかし、企業には副業・兼業を認めるうえで懸念もあるはずです。そのため副業・兼業が本業にどのような支障をもたらすかを今一度精査した上で、副業・兼業を認めない、条件付きで認める等の判断をする必要があります。 

【副業・兼業を認めない、認めるときは条件付きとする理由】

・本業の仕事への支障
・働きすぎによる心身への健康負荷(安全配慮義務)
・業務上の秘密などの情報漏えい(秘密保持義務)
・競業による自社利益の侵害(競業避止義務)
・企業の名誉や信頼を損なう行為(誠実義務)  など

 労働者の行っている副業が上述した4つの例(安全配慮義務、秘密保持義務、競業避止義務、誠実義務)に反する場合、企業は副業・兼業に関する裁判例において、例外的に労働者の副業・兼業を禁止又は制限することができるとされています。

副業・兼業を認めるにあたって企業の対応

◆就業規則の整備
 労働者が副業・兼業を行うことによる企業側のリスクを防止するために、副業・兼業に関するルールを就業規則上で規定化し、秩序のなかで副業・兼業を行うことを労働者に求める必要があります。
 ガイドラインと照らし合わせて自社の副業・兼業についてのルールを入念に検討し、規定した内容について労働者に周知を徹底しましょう。

 労働者が副業・兼業に係る相談・自己申告等を行ったことにより不利益な取扱いはできないことに留意しましょう。

 厚生労働省のガイドラインでは多様なキャリア形成など副業・兼業を希望する労働者が、職業選択の参考にできるよう、企業サイトや会社案内、採用パンフレットなどでの副業・兼業に関しての情報公開が推奨されています。

◆労働時間の管理
 副業・兼業での労務管理では、労働時間に注意する必要があります。 

 副業・兼業をする従業員の労働時間は、自社の労働時間と労働者の申告により把握した副業・兼業先の労働時間を通算して計算します。

 労働者が副業・兼業を行う場合、企業は副業・兼業先の労働時間等を把握するために労働者からの申告などにより、必要な情報を確認しましょう。
「副業・兼業に関する届出様式例」

(出典)厚生労働省『副業・兼業の促進に関するガイドライン わかりやすい解説』P9

 副業・兼業が労働者の安全や健康に支障をもたらさないか、禁止または制限しているものに該当しないかなどの観点から、副業・兼業の内容として届出様式例のような事項を確認することが望ましいです。

 法令等では、自社と副業・兼業先の労働時間を通算するものと通算しないものがあります。
【労働時間を通算するもの】
 法令で定められている労働時間の限度時間は、原則1日8時間週40時間です。このルールは複数の事業場で働く労働者にも適用されるため、自社と副業・兼業先の労働時間を通算します。さらに、労働者個人の実労働時間を規制する目的の「時間外労働の上限規制(時間外労働と休日労働の合計で単月100時間未満、複数月平均80時間以内)」も適用されるため、自社と副業・兼業先の労働時間を通算します。そのため、副業・兼業を行う労働者においては、業・兼業先の労働時間も確認したうえで労働時間管理をする必要があります。
【労働時間を通算しないもの】
 事業場ごとに締結される36協定の延長できる限度時間は、事業場ごとに延長時間の範囲内であるか確認するため、労働時間は通算しません。  また労働基準法が適用されない役員やフリーランス、労働基準法が適用されるが労働時間規制の適用除外となっている業種や管理監督者などの場合は通算しません。  

具体的な労働時間の管理方法についてはガイドラインで「原則的な労働時間の管理方法」、そして簡便な労働時間管理方法として「管理モデル」という考え方を示していますので、ご確認いただければと思います。労働時間を通算して管理するにあたって自社で取り入れやすい方法を採用し、自社と副業・兼業先の労働時間を確実に通算するようにしましょう。
(出典)厚生労働省『副業・兼業の促進に関するガイドライン わかりやすい解説』P15~

◆健康状態に関する管理
 企業は、労働者が健康に働けるように健康状況を把握し、健康管理に努める必要があります。そのため法令等により、健康診断やストレスチェックの実施が義務付けられています。実施義務は、労働者の所定労働時間を基準に判断しますが、副業・兼業先の労働時間は通算せず判断します。

 副業・兼業をする労働者が、自社と副業・兼業先の労働時間を通算し対象となる労働時間となっていても、健康診断やストレスチェックの実施義務はありません。しかし、副業・兼業をする労働者は、長時間労働になる可能性が高いため、働きすぎとならないように、労使の話合いをもとに健康確保のための措置の実施をおすすめします。

 また、中高年齢者にあたる45歳以上は、加齢に伴う心身機能の変化と無理な行動により、労働災害の発生リスクも高まります。法令等でも中高年齢者の労災防止の就業上の配慮が求められています。副業・兼業を条件付きで認めるときに、直近の健康診断の結果が業務遂行に問題がないことなどの基準を設けることも有効かと思います。
【健康確保のための措置の例】
・健康保持のための自己管理を行うように指示する
・自らの健康状態の報告を義務とする
・メンタルヘルスや健康相談できる相談窓口を設置する
・時間外・休日労働の免除、制限を行う         など

 定期的に「副業・兼業」を開始した労働者とコミュニケーションを取り、健康状態の確認や業務への支障がないかを定期的に確認することをおすすめします。

まとめ
 
 これまで「副業・兼業」にマイナスのイメージを持っていた企業は多いかもしれません。しかし、現在はネット環境下でできる仕事の増加や、テレワークの普及により、「副業・兼業」に挑戦しやすくなったという背景もあり、「副業・兼業」を求める労働者は増えてきています。
 「副業・兼業」は企業にとってデメリットばかりではなく、「副業・兼業」先の社外から新たな知識や技術を得てもらい本業へ活用してもらえれば労働者のスキルアップにも期待が持てるのではないでしょうか。

 「副業・兼業」についてきちんと制度化し明確なルールのもとで運用を行い、労働者の副業・兼業に係る相談・自己申告等をしやすい環境づくりが企業には求められていくでしょう。

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