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【京都の社労士コラム】時間外労働60時間超の管理ポイント

2023年06月15日

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 A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。

 このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。

本日は「時間外労働60時間超の管理ポイント」をお送りします。

 2010年4月の改正労働基準法により、1か月60時間超の時間外労働の割増賃金率は25%から50%に引き上げられました。ただし、割増賃金の引き上げが適用となったのは大企業のみで、中小企業は2023年3月31日まで適用が猶予されていました。 

 この猶予措置の期間が終了し、2023年4月1日以降からは中小企業でも割増賃金の引き上げが適用されています。

 今回は、法定時間外労働とは?というところから、深夜労働と法定時間外労働と60時間超の法定時間外労働、法定休日労働と法定時間外労働、それぞれの対応について詳しくお伝えします。 

動画解説(2分38秒)是非ご覧ください!
 動画内でメリット・デメリットや注意点なども紹介しています。
 <画像をクリックすると動画を視聴できます>※倍速視聴も可能です。


法定時間外労働とは

 労働基準法は労働時間の限度を、原則として、1週40時間以内、かつ、1日8時間以内とし、休日を1週に1日以上与えることとしています。
(労働基準法第32、35条)
この労働時間・休日のことを「法定労働時間」・「法定休日」とよびます。

法定時間外労働とはこの「1日8時間、1週40時間」法定労働時間を超過した残業のことで、法定労働時間を超過した労働には、労働基準法上、25%以上の割増賃金の支払いが必要です。

企業によっては所定労働時間が1日7時間で、1時間残業したとしても法定労働時間内の勤務であるため、この場合は割増賃金の対象にはなりません。
(※変形労働時間制の場合は例外もあります)

時間外労働が1か月60時間を超えたときの企業の対応
 
1.1か月60時間超の法定時間外労働

 法定時間外労働が1か月60時間を超えた場合は割増賃金率は50%以上に


(出典)厚生労働省『月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます』

2.深夜労働と法定時間外労働と60時間超の法定時間外労働

 深夜労働(22:00~翌朝5:00)の時間帯に1か月60時間を超える法定時間外労働をさせたときは、割増賃金率は「75%以上(深夜割増賃金率25%以上+時間外労働割増賃金率50%)」になります。

3.法定休日と法定時間外労働

 法定休日(1週1日の休日)は、法定時間外労働と別に算定するため「1か月60時間」には含まれず、法定休日労働の割増賃金率は35%のままです。ただし、法定休日以外の会社の休日に労働したときは「1か月60時間」に含まれるため、60時間を超えた時間について割増賃金率が「50%以上」になります。

代替休暇制度での対応

 月60時間を超える法定時間外労働を行った労働者の健康を確保するため引き上げ分の割増賃金の支払の代わりに有給の休暇(代替休暇 )を付与することができます。制度の導入には労使協定の締結が必要です。

労使協定で定める事項
① 代替休暇の時間数の具体的な算定方法
② 代替休暇の単位
③ 代替休暇を与えることができる期間
④ 代替休暇の取得日の決定方法、割増賃金の支払日
※労使協定は個々の労働者に対して代替休暇の取得を義務付けるものではありません。労働者が実際に代替休暇を取得するか否かは、労働者の意思により決定されます。
 
① 代替休暇の時間数の具体的な算定方法
代替休暇の時間数 =(1か月の法定時間外労働時間数-60時間)× 換算率

【具体例】
 ・通常の残業の割増率:25%
 ・月60時間超の残業の割増率:50%
 上記の場合、50% – 25% = 25% となり、換算率は0.25となります。

② 代替休暇の単位
 代替休暇は、まとまった単位で与えることによって労働者の休息の機会を確保する観点から、1日、半日、1日または半日のいずれかによって与えることとされています。

③ 代替休暇を与えることができる期間
 代替休暇は、特に長い時間外労働を行った労働者の休息の機会の確保が目的ですので、一定の近接した期間内(時間外労働をした月から2か月間以内)に与える必要があります。

④ 代替休暇の取得日の決定方法、割増賃金の支払日
 賃金の支払額を早期に確定させ、トラブルを防止する観点から、労使で定めておくべきものです。

代替休暇制度は、あくまでも通常の割増賃金との差額の支払いを免除する制度です。したがって、代替休暇制度による有給の休暇の付与が行われる場合であっても、通常の時間外労働に対して支払われる25%以上の割増率による割増賃金の支払いは必要になります。
(出典)厚生労働省『月60時間を超える法定時間外労働に対して』

まとめ

 月60時間超の時間外割増賃金を適正に計算するためには、日々の時間外労働の時間数を管理するだけでなく、法定休日と法定外休日を明確に区分けし、カウントの対象となる時間を正しく抽出する必要があります。
 正確な時間外労働の管理と適正な割増賃金の計算は、労働者と会社の関係を円滑に保つために重要です。適切な勤怠システムの活用と労働時間の可視化により、労働環境の改善や労働時間の適正化にもつながることでしょう。

社会保険労務士法人では、法改正に対応した労務相談就業規則の作成・改定、労使協定の締結、種助成金の申請支援などを行っています。
 また、勤怠・労務管理のDX化、Web給与明細社会保険・労働保険手続き給与計算など様々なサービスを提供していますのでお気軽にご相談ください。


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