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【京都の社労士コラム】固定残業手当の導入メリットと注意点/導入目的を再確認しましょう

2023年06月08日

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 A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。

 このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。

 今回のテーマは固定残業手当の導入メリットと注意点についてご案内致します。

 最近はハローワーク求人等でも固定残業手当の表示を詳細に記載するようになっています。皆さんは固定残業手当についてどのように認識されていますか?
 今回は、固定残業手当の目的やメリット、注意点についての情報をご案内します。

動画解説(2分37秒)是非ご覧ください!
 動画内でメリット・デメリットや注意点なども紹介しています。
 <画像をクリックすると動画を視聴できます>※倍速視聴も可能です。


固定残業手当とメリット

 固定残業手当とは、残業の有無に関わらず、毎月の固定給として支払われる定額の時間外労働手当となります。
 固定残業手当を支払うことで次のメリットがあります。
【固定残業手当のメリット】
①人件費が把握しやすい
②時間外労働の抑制になる
③求人広告等で給与が高いことをアピールできる

①人件費が把握しやすい
 本来、残業が発生すると会社は給与支払い時に残業代の計算を行い、毎月の人件費がどれぐらいかかったのかが給与確定後に分かることになります。
 しかし、固定残業手当として支払っている場合は、労働条件通知書等で定めた残業時間数を超えなければ、毎月の人件費が変動することはありません。将来の人件費等も想定しやすいものとなります。
 上記以外にも給与計算の手間が大幅に削減されるメリットもあります。

②時間外労働の抑制になる
 労働者によっては、残業代を稼ごうと思い残業時間が増えたり、残業すれば賃金が増えるというように労働者の認識が麻痺し、残業が増えるケースがあります。また、残業しないように頑張っている人と気にせず残業をする人で不公平感が生まれます。
 固定残業手当により、残業してもしなくても賃金は変わらないといった認識になり、残業を抑制し、不公平感も生まれなくなります。

③求人広告等で給与が高いことをアピールできる
 求人では総支給額を目安にする求職者もいます。他社と比較した際に、賃金総額で上回ることが出来たり、残業抑制の結果、残業が少なく賃金総額が高い会社は、求職者からの応募も増えます。

導入の注意事項
 
 固定残業手当の導入にはいくつもの注意事項があります。固定残業手当を活用している事業は、改めて注意事項を守って運用が出来ているか見直しましょう。
【固定残業手当導入の注意事項】
①基本給と固定残業手当を明確に区分する
②固定残業手当は何時間分の残業時間を含むのか明示する
③固定残業手当に含まれる残業時間を超過した場合は別途割増賃金を支給する
④就業規則に固定残業手当の計算方法及び超過した場合に支給する規定を整備する
⑤固定残業手当については、割増賃金を含めた金額で計算する
⑥最低賃金を割らないように気を付ける
⑦毎年、36協定の届出をする
※36協定で通常認められている時間外労働時間が45時間を上限にしていることから、固定残業手当の時間数も45時間以内に定める方が良いでしょう。但し、1年単位の変形労働時間制を適用する事業所では時間外労働の上限が42時間になっていますので注意しましょう。
 参考|厚生労働省「労働基準法の基礎知識」

①基本給と固定残業手当を明確に区分する
 固定残業手当は、労働者に分かるように明確にする必要があります。「基本給に含む」のような記載ではなく、基本給と固定残業手当を分けて明確にしましょう。

②固定残業手当は何時間分の残業時間を含むのか明示する
 固定残業手当は労働者に時間数まで正確に明示する必要があります。労働者が理解し適正な運用が出来るように残業何時間分に相当するか明確にしましょう。

③固定残業手当に含まれる残業時間を超過した場合は別途割増賃金を支給する
 ②で明示した定額の残業時間を超過した残業時間については別途支給する必要があります。

④就業規則に固定残業手当の計算方法及び超過した場合に支給する規定を整備する
 固定残業手当は本人に通知するだけでは適法に機能しません。就業規則にも固定残業手当の取扱いについて規定が必要です。

⑤固定残業手当については、割増賃金を含めた金額で計算する
 当該手当は時間外労働を定額で支給する制度です。実際に時間外労働が発生したとき同様に割増賃金の部分に該当しますので、割増賃金の単価計算から固定残業手当の額を決める必要があります。

⑥最低賃金を割らないように気を付ける
 最低賃金の計算に固定残業手当は含まれません。固定残業手当を除いた結果、最低賃金を割っていたなどのケースも発生していますので注意しましょう。
 参考|厚生労働省「地域別最低賃金改定状況」

⑦毎年、36協定の届出をする
 法定労働時間を超えて労働させる場合は36協定の届出が必要です。固定残業手当は、残業があることが前提に整備しますので、36協定の届出は忘れないようにしましょう。
 参考|厚生労働省「主要様式ダウンロードコーナー」

固定残業手当の表示方法

  固定残業手当を支給する際は、従業員本人に説明し理解した上で運用する必要があります。労働条件の明示でも賃金については、絶対的明示事項になっていますので、労働条件通知書に記載する必要があります。
 求人についても同じく固定残業手当については明確記載が求められていますので注意してください。
【記載方法の参考】
基本給212,000円
固定残業手当38,000円/時間外労働手当20時間分として支給する。
※当該時間を超える時間外労働に対しては別途残業代を支給する。

参考|厚生労働省「若者の募集・採用等を行う際は若者雇用促進法に基づく指針を確認してください」
 
まとめ

 今回は固定残業手当についてご案内させていただきました。改めて自社の固定残業手当は問題なかったでしょうか?固定残業の目的を勘違いしている方もまだまだおられます。「固定残業時間分の残業をさせることが出来る」といった考えではなく「固定残業手当で一定の賃金水準を引き上げ、残業時間の抑制につなげる」と認識していただき、社内でもしっかり周知し、働きやすい職場環境を整備しましょう。
 固定残業手当は便利な一方、取扱いを間違えれば労使トラブルを引き起こす制度でもあります。正確に運用し、会社と労働者の双方がメリット最大限に活用できる制度にしていきましょう。
 固定残業手当の導入は、向いている職業や導入は控えた方が良い職業などもあります。社労士や弁護士などの意見を聞き、慎重に検討しましょう。

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