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【京都の社労士コラム】4月より保険料率引き上げ!~雇用保険の再確認~

2023年03月16日

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A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。

 このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。

 本日は、『雇用保険料率の変更』についてのご案内です。

 雇用保険に加入している労働者や企業が支払う雇用保険料は、失業手当の受給者数や保険料の積立金などを基に料率の見直しが行われ、変更となる場合には通常4月1日から施行されます。保険料の積み立てにより十分な財源が確保されている場合は変更が行われない年度もありますが、新型コロナウイルスの影響による失業者の増加による失業給付の増加や雇用調整助成金の支給額が急増したことにより財源が不足、結果2022年度は4月及び10月の2度にわたって料率が変更となりました。
 そして、昨年に引き続き、2023年4月1日より労働者負担および事業主負担分について雇用保険料率の引き上げが行われます。
 
 以下、令和5年度の雇用保険料率に加え、雇用保険の基本情報などを改めてご確認下さい。

令和5年度雇用保険料率


(出典)厚生労働省『令和5年度雇用保険料率のご案内』

保険料率は、労働者負担、事業主負担それぞれ0.1%上がることになります。
例えば一般の事業で給与200,000円の場合、現在の労働者負担の雇用保険料1,000円から、令和5年度は1,200円となります。

雇用保険とは

雇用保険は、自身の労働により給与を得て生計を立てている労働者が、離職後の生活の安定や雇用の継続を図るための制度です。
雇用保険料は、失業や育児休業、介護休業の給付金だけでなく、雇用調整助成金など失業を予防したり雇用機会を増やすための「雇用安定事業」や、労働者のスキルアップを支援する「能力開発事業」にも利用されています。 

給与計算時の雇用保険料の料率変更

雇用保険料は、毎月の給与時に従業員ごとに計算して徴収しなければいけません。
雇用保険料の料率変更のタイミングは「4月1日以降に最初に到来する締め日により支給される給与」となり、賃金締日を基準にして変更することになります。
賃金締日が雇用保険料率の改定日の前後いずれにあるかにより、雇用保険料率を変更する時期が決まります。

(例)当月締/当月支払いの場合
 締 日:4月20日
 支払日:4月30日
→賃金締日が4月1日以降なので、4月30日支払給与より新しい雇用保険料率で計算します。

(例)末日締/翌月支払いの場合
 締 日:3月31日
 支払日:4月25日
→賃金締日が3月中なので、4月25日の支払給与は従前の雇用保険料率で計算します。そして、5月25日の支払給与より、新しい雇用保険料率で計算します。

雇用保険の加入要件

雇用保険の加入要件は以下のとおりです。

【雇用保険の適用対象者の要件】
 以下のいずれにも該当する従業員です。
 ①1週間の所定労働時間が20時間以上であること
 ②31日以上の雇用見込みがあること

現在の制度では、2か所以上の雇用関係にある労働者は、1か所でしか雇用保険に加入できません。ただし、令和4年1月に雇用保険マルチジョブホルダー制度が新設され、65歳以上の労働者で以下の適用対象者の要件を満たしたときは、本人の申出があれば雇用保険の被保険者となることができます。

【雇用保険マルチジョブホルダー制度の適用対象者の要件】
①複数の企業に雇用される65歳以上の労働者であること
②2つの企業(1企業あたり週の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して、週の所定労働時間が20時間以上であること
➂2つの企業のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること
 
 参考 厚生労働省『「雇用保険マルチジョブホルダー制度」を新設します』

また、令和3年1月には、従業員として勤務しつつ個人事業主やほかの企業の役員などその他の収入がある方についての雇用保険の適用要件が見直しされています。従業員としての収入と個人事業主等での収入のどちらが多いかに関わりなく、従業員として雇用保険の加入要件に該当していれば加入する必要があります。

 参考 広島労働局『従業員の方が自営業を営んでいる場合の雇用保険の取扱い』

雇用保険の対象となる賃金とは

雇用保険料の対象となる賃金は、賃金、給与、手当、賞与など名称にかかわらず、労働の対象として企業が従業に支払うすべてです。
結婚祝金や休業補償、解雇予告手当などは賃金には含まれません。


(出典)厚生労働省『雇用保険料の対象となる賃金』

雇用保険料の計算方法

雇用保険料の対象となる賃金は、税金や健康保険料などの社会保険料を控除する前の総支給額に雇用保険料率を掛けて求めます。
 

上記で計算したときに従業員負担分に端数が出たときは以下のように処理します。

 

【雇用保険料の計算例】一般の事業の従業員(令和5年4月~)の給与から控除するとき

基本給255,600円 / 扶養手当20,000円 / 通勤手当10,000円 / 出張旅費20,000円
 
(計算方法)
255,600円+20,000円+10,000円=285,600円(※)
285,600円 × 6/1,000 = 1,713.6円
 →雇用保険料:1,714円(端数切り上げ)
※出張旅費など実費弁償と考えられるものは雇用保険料の対象賃金には含めません。

雇用保険料の申告と納付方法

雇用保険料の申告は、毎年6月1日から7月10日までのあいだに申請する年度更新で行います。年度更新では、雇用保険と労災保険の2つの保険の総称である労働保険の保険料を計算します。 
具体的には、前年度4月1日から3月31日のあいだに支払われた賃金(支払義務が具体的に確定した賃金を含む)を月ごとに集計し、保険料率を掛けて計算します。雇用保険料の従業員負担分は毎月の給与で従業員から徴収し、年度更新のタイミングで支払うことになります。
年度更新で計算した労働保険料の納付は「現金納付」「口座振替」「電子納付」の方法があります。納付期限は、現金納付と電子納付のときは毎年7月10日(休日のときは翌日)です。
口座振替による納付の場合は、保険料の引落に最大2か月のゆとりができます。毎回、金融機関の窓口に行く手間や待ち時間の解消ができ、納付漏れも防止できます。

参考 厚生労働省『労働保険料は口座振替が便利です!』

まとめ

物価上昇もある中で、昨年度に引き続き雇用保険料の引き上げとなります。雇用保険では支払った保険料は失業時や育児休業時の給付などに充てられ、また雇用調整助成金など雇用安定の維持にも必要な財源となります。
労働者と企業にとって不可欠な雇用保険制度を維持するためにも、加入手続きや各種給付の手続きなどは漏れのないよう行い、安心して働くことのできる労働環境を整備しましょう。

A社会保険労務士法人では、法改正に対応した労務相談や就業規則の作成・改定、各種助成金の申請支援などを行っています。
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