A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。
近年、人手不足を背景に外国人を雇用する企業が増えています。外国人材は企業にとって重要な戦力となる一方、採用や雇用管理にあたっては、在留資格の確認や各種届出など、日本人を雇用する場合とは異なるルールがあります。これらを十分に確認せずに雇用してしまうと、思わぬトラブルや法令違反につながるおそれがあります。 今年6月には在留カードの様式が変更され、今後は育成就労制度の施行も予定されるなど、企業に求められる対応も変化しています。
今回は、外国人雇用を行う際に押さえておきたい注意点や必要な手続きについて、2026年の制度改正のポイントも交えながら解説します。
まずは動画(3分42秒)をご覧ください
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在留資格を必ず確認する
外国人であれば誰でも自由に働けるわけではありません。 例えば、「留学」や「家族滞在」の在留資格では、原則として就労できず、「資格外活動許可」を受けた場合でも週28時間以内などの制限があります。
また、「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格では、認められた業務内容の範囲内でしか働くことができません。
採用時には在留カードを確認し、
を必ず確認しましょう。
就労資格のない外国人を雇用した場合は、会社にも不法就労助長罪が成立する可能性があります。
出典:出入国在留管理庁「外国人を雇用する事業主の皆様へ(就労資格・在留カードの確認等)」
「外国人雇用状況届出」が必要
外国人を雇用・離職した場合は、ハローワークへの届出が必要です。(※特別永住者と在留資格「外交」「公用」以外の方)
雇用保険の被保険者となる場合は、資格取得届・喪失届の提出によって届出を兼ねます。
一方、雇用保険の加入対象とならない場合でも、外国人雇用状況届出は必須です。届出漏れは行政指導の対象となるため注意しましょう。

出典:雇用対策法(外国人雇用状況の届出に関する規定) / 厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」 / 厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」
在留期間の更新は本人任せにしない
在留資格には有効期限があります。 更新手続は本人が行いますが、期限切れに気付かず就労を継続すると、不法就労となるおそれがあります。
会社としても、
といった管理体制を整えておくことが重要です。
2026年6月から「新様式の在留カード」と「特定在留カード」の運用開始
2026年6月14日から、在留カードの様式が変更されるとともに、「特定在留カード」の運用が始まりました。

従来はカード表面で確認できた 「在留期間」「許可の種類」「許可年月日」「交付年月日」などの一部情報は、券面には表示されず、 ICチップに記録される方式へ変更されています。
また、新たに導入された「特定在留カード」は、希望する外国人がマイナンバーカードと在留カードを一体化できる仕組みです。 これにより、本人確認や行政手続の利便性向上が期待されています。

このような制度変更に伴い、企業が外国人を採用する際や在留資格更新後の確認方法も変わります。 従来のように在留カードを目視するだけでは必要な情報を十分に確認できない場合があるため、出入国在留管理庁が提供する 「在留カード等読取アプリケーション」を活用し、ICチップに記録された情報まで確認することが望まれます。 これは、偽造・変造された在留カードを見分ける対策としても有効です。

なお、現在の「在留カード等読取アプリケーション」では、ICチップ内の一部情報は表示されません。 出入国在留管理庁ではアプリの改修を進めており、2026年9月頃を目途に、在留期間・許可の種類・許可年月日などを表示できる改修版が リリースされる予定です。それまでは、券面の情報と併せて在留カードの真正性を確認するなど、適切な運用を心掛けましょう。
出典:出入国在留管理庁 在留カードとは? / 出入国在留管理庁 特定在留カードの交付申請について
2027年からは「育成就労制度」がスタート
2027年からは、技能実習制度に代わる育成就労制度が開始されます。 従来の技能実習における「国際貢献・技術移転」から、人材不足分野における「人材の育成・確保」へと実態に合わせた目的の変更が行われました。
新制度では、
- 人材育成と人材確保を目的とする制度へ転換
- 一定の要件を満たせば転籍(転職)が可能
- 特定技能制度との接続を前提とした仕組み
となる予定です。
これまで技能実習生を受け入れていた企業だけでなく、今後外国人採用を検討する企業にとっても、大きな制度変更となります。
出典:出入国在留管理庁 育成就労制度の概要・関係法令 / 出入国在留管理庁「育成就労制度・特定技能制度Q&A」
外国人であっても労働基準法などは日本人と同じ
外国人労働者にも、
- 最低賃金
- 割増賃金
- 年次有給休暇
- 社会保険・労働保険
など、日本の労働関係法令が適用されます。 「外国人だから特別な雇用条件でもよい」ということはありません。
労働条件通知書も、できる限り本人が理解できる言語で説明することが望まれています。
出典:厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」
外国人労働者の就労環境を整備しましょう
外国人労働者が安心して能力を発揮し、長く活躍してもらうためには、適切な労務管理だけでなく、働きやすい職場環境の整備も重要です。
厚生労働省では、外国人労働者の職場定着を支援するため、「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」を設けています。 就業規則や社内マニュアルの多言語化、苦情・相談体制の整備、一時帰国休暇制度の整備など、一定の就労環境整備を行った事業主に対して助成が行われる制度です。
助成金の対象となる取組や支給要件については、過去のコラム「助成金を活用して、外国人労働者の就労環境を整備しませんか?」で詳しくご紹介しています。制度の活用をご検討される企業様は、ぜひそちらもあわせてご覧ください。
出典:厚生労働省 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
おわりに
外国人雇用では、採用時の在留資格の確認はもちろん、雇用後も在留期間の管理や各種届出など、継続的な労務管理が重要になります。
また、2026年6月には在留カードの様式変更や特定在留カードの運用開始など、企業の実務に影響する制度改正が行われました。 今後も育成就労制度の施行など、外国人雇用を取り巻く制度は大きく変化していくことが予定されています。
外国人雇用に関する法令や制度は複雑で、誤った対応は不法就労や届出漏れなどのリスクにつながるおそれがあります。 採用前から雇用後まで、適切な手続きと管理体制を整え、安心して外国人材が活躍できる職場づくりを進めていきましょう。
A(エース)社会保険労務士法人では、外国人雇用に関する労務相談や雇用管理、各種手続きのサポートを行っております。 外国人雇用をご検討中の企業様や、現在雇用されている企業様は、お気軽にご相談ください。
出典:出入国管理及び難民認定法
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