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2025年~人事労務に関する実務スケジュール~

2025年01月28日

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 A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。

 このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。
 
 今回は、『2025年~人事労務に関する実務スケジュール~』についてご案内します。
 会社の人事労務担当者は、毎月の給与計算業務のほかにも年度ごとに必要な届出や、随時発生する多くの業務に対応しなければなりません。
 今回は、2025年の人事労務に関する主な業務について、月ごとにまとめてご紹介します。人事労務に関する年間スケジュールと自社のスケジュールを確認頂き、担当者が無理なく対応できるよう準備を整えておきましょう。
 


1月の業務

【法定調書の提出】

2024年の年末調整業務の完了後、源泉徴収票や支払調書などの法定調書を法定調書合計表とともに提出します。管轄の税務署へ1月中に提出します。

【給与支払報告書の提出】
2024年の年末調整業務の完了後、給与支払報告書を総括表とともに提出します。1月1日現在(退職の場合は退職日現在)における従業員の住所地の市区町村へ1月中に提出します。

【労働保険料の納付期限(第3期)】※3回に分割納付している企業
第3期の労働保険料を、管轄の労働基準監督署や金融機関などに1月中に納付します。(労働保険事務組合に委託している場合は、事務組合から案内される納付日まで)

【源泉所得税の納期の特例(7月~12月分)】
従業員10人未満で、納期の特例制度の適用を受けている企業は、7月〜12月分の源泉所得税を納付します。管轄税務署や金融機関などへ1月20日までに納付します。

【法改正情報】
2025年1月には、以下の法改正が実施となります。
(改正日:2025年1月1日)
労働安全衛生関係の一部の手続きの電子申請が義務化 労働者死傷病報告や総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医の選任報告など、労働安全衛生関係の一部の手続きの電子申請が義務化されます。
3歳未満の養育特例の添付書類が省略可能に 「養育期間標準報酬月額特例申出書」に事業主の確認欄が設けられます。これにより、事業主が被保険者と子どもの身分関係を確認した場合は、戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書の添付が省略可能となります。

3月の業務

【健康保険料率・介護保険料率の改定】
3月分から、健康保険料および介護保険料の料率が変わります。協会けんぽなど各保険者から発表されるあらたな料率を確認し、給与計算システムの設定の見直しを行います。


4月の業務

【雇用保険料率の改定】
4月分から、雇用保険料の料率が変わります。給与計算システム設定等の対応が必要になります。 

【法改正情報】
2025年4月には、以下の法改正が実施されます。
(改正日:2025年4月1日)
65歳までの雇用確保の完全義務化 継続雇用制度の経過措置の終了により、今後は以下のいずれかの高年齢雇用確保措置を講じなければならない
・65歳までの定年の引き上げ
希望者全員の65歳までの継続雇用制度の導入
・定年制の廃止
高年齢雇用継続給付の見直し ①2025年4月1日以降に60歳に達した日(※)を迎える被保険者から、最大支給率が10%に引き下げ(改正前15%)
※雇用保険の被保険者期間が5年未満の場合は5年を満たした日
②高年齢雇用継続給付と老齢厚生年金の併給調整に係る調整率も、最大で標準報酬月額の4%相当額に引下げ(改正前6%)
障害者雇用の除外率の引下げ 除外率が設定されている業種ごとに、それぞれ10ポイント引下げ(改正前の除外率が10%以下の業種については除外率制度の対象外となる)
育児介護休業法の改正 ・子の看護休暇の見直し
・所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大
・短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワーク追加
・育児のためのテレワーク導入(努力義務)
・育児休業取得状況の公表義務適用拡大
・介護休暇を取得できる従業員の要件緩和
・介護離職防止のための雇用環境整備
・介護離職防止のための個別の周知・意向確認等
・介護のためのテレワーク導入(努力義務)
出生後休業支援給付金の創設 子どもの出生直後の一定期間以内(※)に被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得する場合、最大28日間、休業開始前賃金の13%相当額が支給される
※男性:子の出生後8週間以内、女性:産後休業後8週間以内
育児時短就業給付金の創設 2歳未満の子どもを養育するために時短勤務にした被保険者に対し、時短勤務中に支払われた賃金額の10%が支給される
育児休業取得時に関する状況把握・数値目標設定の義務化 従業員数が100人を超える企業は、以下の内容が一般事業主行動計画の策定時に義務化される
・計画策定時の育児休業取得状況や労働時間の把握など
・育児休業取得状況や労働時間に関する数値目標の設定
建設業における安全衛生対策に関する保護措置の対象拡大 事業主が行う退避や立入禁止等の措置について、同じ場所で作業を行う従業員以外の人や、作業を請け負わせる一人親方等に対する保護措置が義務化
自己都合退職者にかかる給付制限の見直し ・離職期間中や離職日前1年以内に自ら雇用安定・就職促進のため教育訓練を行った場合、給付制限を解除
・このほかの自己都合退職者は、給付制限を原則1か月に短縮(改正前2か月)

5月の業務

【障害者雇用納付金の申告および納付、障害者雇用調整金などの申請】
常時雇用する従業員が100人を超える企業は、2025年5月15日(木)までに申告および納付、または申請が必要です。(従業員数100人以下の企業は、「7月の業務」をご確認ください。)

6月の業務

【労働保険の年度更新】
労働保険料について以下の手続を行います。
・前年度の確定保険料の申告および概算保険料の精算
・新年度の概算保険料の申告および納付
(申告および保険料納付の期間)2025年6月2日(月)から2025年7月10日(木)(※1、※2)
(申告書の提出先)管轄の都道府県労働局、労働基準監督署、金融機関
(納付場所)管轄の都道府県労働局、労働基準監督署、金融機関など(※3)
※1 原則6月1日から7月10日。土日祝にあたる場合はその翌日
※2 労働保険料の納付を3回に分割して支払う企業は、第1期の労働保険料の支払い
※3 口座振替やe-Govなどによる電子納付も可能

【住民税額の更新】
住民税は、前年の所得に基づいて1年間の税額が決められます。各市区町村から「特別徴収税額の決定通知書」が企業に届き、通知された年税額は、6月から翌年5月の12か月に分けて給与から徴収します。

【高年齢者雇用状況報告書・障害者雇用状況報告書の提出】
毎年6月1日現在の高年齢者や障害者の雇用状況を報告します。
2024年4月の法定雇用率の引上げにより、障害者雇用状況報告の提出対象は、従業員40人以上の企業に変わります。
(提出期間)2025年7月15日(火)

【新規高卒者のハローワークによる求人申込の受付開始】
来春高校卒業予定者の採用を考えている企業は、毎年厚生労働省から発表される採用選考期日を参考に採用計画を立てることをおすすめします。

(出典)厚生労働省『令和7年3月新規高等学校卒業者の就職に係る採用選考期日等を取りまとめました』

7月の業務

【算定基礎届の届出(定時決定)】
健康保険・厚生年金保険の標準報酬月額と現在の報酬とのあいだに大きな差が生じないように、企業は毎年4月〜6月の報酬月額を届出します。届出した内容をもとに、その年の9月分から翌年8月までの標準報酬月額が日本年金機構により決定されます。
(届出期限)2025年7月10日(木)
(届出先)事務センター、管轄の年金事務所

【源泉所得税の納期の特例(1月〜6月分)】
従業員10人未満で、納期の特例制度の適用を受けている企業は、1月〜6月分の源泉所得税を納付します。管轄税務署や金融機関などへ7月10日までに納付します。

9月の業務

【社会保険料の改定(定時決定の結果反映)】
定時決定により見直しされた標準報酬月額は、9月分の社会保険料から適用されます。ただし、7月〜9月の随時改定に該当する場合は、随時改定による標準報酬月額が優先されます。

10月の業務

【地域別最低賃金の改定による賃金の見直し】
地域別最低賃金を下回る従業員がいる場合は、最低賃金以上への賃金引上げが必要です。

【労働保険料の納付期限(第2期)】
労働保険料を3回に分割して納付する企業は、第2期の労働保険料を支払います。
(納付期限)2025年10月31日(金)(※1)
(納付場所)管轄の都道府県労働局、労働基準監督署、金融機関など(※2)
※1 労働保険事務組合に委託している場合は、事務組合から連絡される納付の日付をご確認ください。
※2 口座振替や電子納付も可能

【法改正情報】
2025年10月には、以下の法改正が実施されます。
(改正日:2025年10月1日)
育児介護休業法の改正 ・柔軟な働き方を実現するための措置等
・仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮
教育訓練休暇給付金の創設 脅威訓練を受けるための休暇を取得した場合、賃金の一定割合が支給される

11月の業務

【被扶養者状況リストの提出】※時期は保険者による
従業員の健康保険上の扶養家族について、収入など現在の状況を確認してまとめたリストを提出します。なお、協会けんぽは毎年11月頃に実施しますが、健康保険組合の実施時期は組合ごとによって異なります。
(提出先)協会けんぽや健康保険組合などの保険者

12月の業務

【年末調整】
年末調整の業務は、従業員に提出を求める申告書が数種類あり、添付書類も従業員によって異なるなど大変煩雑です。多くの人事労務担当者にとって1年で一番忙しい時期になることから、早めの準備をおすすめします。

毎月の定例業務、随時発生する業務

さらに人の動きや人事制度の変更、法改正等に伴い随時発生する業務も数多くあります。
毎月行う業務 随時行う業務
・給与計算
・勤怠管理
・年次有給休暇の管理
・社会保険料の納付
・住民税の納付
・所得税の納付
・衛生委員会の実施(従業員50人以上)
・安全委員会の実施(従業員50人以上の対象業種) など
・社会保険手続き(被扶養者の異動手続含む)
・雇用保険手続
・随時改定(月額変更届の提出)
・労働者死傷病報告
・雇用契約書の作成及び更新
・年次有給休暇の付与
・研修、教育の実施
・法改正等による就業規則等の整備
・人事評価の実施
・人事制度の見直し
・福利厚生に関する業務  など

その他の業務

【36協定の届出】
36協定の有効期限を迎える場合、再締結および届出を行います。
(届出期限)あらたな有効期間の開始日
(届出先)管轄の労働基準監督署

【新入社員の入社手続】
・社会保険・雇用保険の資格取得手続
・雇用契約書、労働条件通知書や労働者名簿などの作成

【定期健康診断の実施】
定期健康診断は、毎年1回従業員に受診させる義務があります。従業員が50人以上の企業は労働基準監督署に結果報告が必要です。
また業務内容によっては実施時期が異なりますので注意が必要です。


(出典)厚生労働省『労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう~労働者の健康確保のために~』

【賞与の支給、賞与支払届の提出】
賞与を支払った企業は「被保険者賞与支払届」を提出します。なお、賞与が不支給だった場合は、賞与不支給報告書の提出が必要です。
(提出期限)賞与支払日から5日以内
(提出先)事務センター、管轄の年金事務所

【ストレスチェックの実施】
メンタルヘルスの不調を未然に防ぐため、従業員50人以上の企業に対し、ストレスチェックの実施が義務付けられています。

まとめ
 
 人事労務担当者は上記の月ごとの業務のほか、毎月の業務として給与計算、勤怠管理、年次有給休暇の管理、社会保険料・所得税等の納付、また随時の業務として入退職に伴う雇用保険・社会保険手続きなど、多くの業務を行う必要があります。
 各種業務を正確に行うためにも年間の実務スケジュールを把握し、2025年の円滑な運営に繋げましょう。


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