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【京都の社労士コラム】近年増加中のカスタマーハラスメントと会社が対応すべき責任とは/短編動画で分かりやすく解説

2024年12月05日

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 A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。

 このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。
 
 今回のテーマは、「近年増加中のカスタマーハラスメント」についてご案内します。

 お客様は神様と誰が言ったのでしょうか。
 この言葉は昔から長く引き継がれ、日本人の親切丁寧な接客に繋がり、外国から日本への来訪者は日本の親切な対応に感銘を受けると聞きます。
 しかし、お客様は神様といった考えが根強い日本では 、カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)が起こりやすい環境にあるのかもしれません。

 今回の記事では、会社や従業員が巻き込まれる可能性のある「カスハラ」「会社の責任と対応すべきこと」について解説します。



動画解説(2分34秒)是非ご覧ください。
<画像をクリックすると動画を視聴できます>※倍速視聴も可能です。



カスハラとはなにか

 カスハラとは、顧客や取引先がその立場を利用して、相手先企業やその従業員に理不尽な要求をする行為です。ただし、クレームのすべてがカスハラとなるわけではありません。クレームには、商品やサービスの改善などの正当なものもあります。

 カスハラは、不当な言いがかりや過剰な要求を行う悪質なクレームなど、社会通念上不相当なものを指します。

 厚生労働省が公表した企業および従業員への調査によると、過去3年間にハラスメントを受けた従業員の割合ではカスハラが2番目に多く、そして企業への相談件数はカスハラが3番目に多いという結果となっています。


 参考|令和5年度 厚生労働省委託事業『職場のハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)』

 なお、カスハラは、個人客によるハラスメントといったイメージを持たれがちですが、取引先も対象となります。そのため、企業は業種を問わずカスハラの被害にあう可能性がある一方、逆にカスハラの加害者となる可能性もあります。


カスハラの判断基準

 カスハラの判断基準は法令等では定められていません。そのため、企業は自社の判断基準を明確化し、その考え方や対応を十分に社内周知しておく必要があります。

 なお、考え方のひとつとして、以下の①②による観点で判断基準を決めることもできます。

①顧客や取引先の要求内容に妥当性はあるか

 自社サービスの過失や商品の欠陥などがあれば、改善を求めるクレームや苦情は妥当です。一方で、顧客の主張と事実を確認したとき、自社サービスや商品に過失が認められないなどの事実無根の要求には妥当性がないと判断します。

②要求する手段などが社会通念上相当な範囲か

 クレームの妥当性があったとしても、行き過ぎた要求や従業員の就業環境を害するものなど、社会通念上不相当なものはカスハラとなります。たとえば、暴言や脅迫、長時間または執拗に繰り返されるクレームなどです。状況次第では、傷害罪、暴行罪、脅迫罪、恐喝罪など、法令等に抵触する可能性もあります。

【カスハラとなる可能性のある行為例】

 出典|厚生労働省『カスタマーハラスメント対策 企業マニュアル』P9


カスハラがもたらす被害

 カスハラは従業員にとって大きなストレスとなり、心身の不調を引き起こし、休職や離職の原因になることもあります。
 企業にとっても、クレーム対応にかかる時間コストの増加、休職や離職による人員不足、それに伴う生産性の低下など、経営に大きくかかわります。
 このようにカスハラは企業や従業員に大きな悪影響をもたらすため、カスハラ対策は急務であるといえます。


 出典|厚生労働省『カスタマーハラスメント対策 企業マニュアル』P13


企業が対応すべきこと

 カスハラが発生しているにもかかわらず、企業が適切な対応をとらなかった場合、安全配慮義務違反となる可能性もあります。さらには、被害を受けた従業員から責任を追及される可能性もあり、実際に損害賠償請求を認めた裁判例もあります。


 カスハラ発生時の対策はもちろんのこと、日頃から予防対策をとっておくことは、従業員のみならず企業を守るためにも重要です。

カスハラを想定した企業がすべき事前の準備】
①事業主の基本方針・基本姿勢の明確化、従業員への周知・啓発
・組織のトップが、カスタマーハラスメント対策への取組の基本方針・基本姿勢を明確に示す。
・カスタマーハラスメントから、組織として従業員を守るという基本方針・基本姿勢、従業員の対応の在り方を従業員に周知・啓発し、教育する。

②従業員(被害者)のための相談対応体制の整備
・カスタマーハラスメントを受けた従業員が相談できるように相談対応者を決めておく、または相談窓口を設置し、従業員に広く周知する。
・相談対応者が相談の内容や状況に応じ適切に対応できるようにする。

③対応方法・手順の策定
・カスタマーハラスメント行為への対応体制、方法等をあらかじめ決めておく。
 
④社内対応ルールの従業員等への教育・研修
・顧客等からの迷惑行為、悪質なクレームへの社内における具体的な対応について、従業員を教育する。

【カスハラが実際に起こった際の対応】
⑤事実関係の正確な確認と事案への対応
・カスタマーハラスメントに該当するか否かを判断するため、顧客、従業員等からの情報を基に、その行為が事実であるかを確かな証拠・証言に基づいて確認する。
・確認した事実に基づき、商品に瑕疵がある、またはサービスに過失がある場合は謝罪し、商品の交換・返金に応じる。瑕疵や過失がない場合は要求等に応じない。

⑥従業員への配慮の措置
・被害を受けた従業員に対する配慮の措置を適正に行う(繰り返される不相当な行為には一人で対応させず、複数名で、あるいは組織的に対応する。メンタルヘルス不調への対応等)

⑦再発防止のための取組
・同様の問題が発生することを防ぐ(再発防止の措置)ため、定期的な取組の見直しや改善を行い、継続的に取組を行う。

⑧①~⑦までの措置と併せて講ずべき措置
相談者のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、従業員に周知する。
相談したこと等を理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、従業員に周知する。

 出典|厚生労働省『カスタマーハラスメント対策 企業マニュアル』P18、19

【カスハラ対策チェックシート】

 厚生労働省より、「カスタマーハラスメント対策チェックシート」が公開されています。
 企業用、従業員用の2種類があります。カスハラ対策にご活用ください。

 参考|厚生労働省『カスタマーハラスメント対策 企業マニュアル』P52~P54


まとめ
 
 カスタマーハラスメントは、近年、ニュースなどで報じられ、社会的に大きな問題として取り上げられるようになってきました。
 企業においても、従業員からカスハラの訴えが出てくる前に、企業の方針を定め、事前に対策をしておきましょう。最近では、大手ショッピングモールもホームページなどでカスハラ対策について公表しています。
 従業員や会社を守る取り組みを整備するとともに、自身が加害者にならないように各自が日頃から相手を思いやり、より良い職場環境を整備していきましょう。


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