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【京都の社労士コラム】労災保険の給付、どんなものがあるの?

2024年11月05日

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 A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。

 このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。
 今回のテーマは、「労災保険の給付、どんなものがあるの?」です。

 労災保険という言葉を知っていても、実際どういう補償を受けられるのか?手続きはどうすればいいのか?なんて方も多いのではないでしょうか。
 今回は労災保険の給付内容について8つ取り上げて参ります。

【動画】労災保険の給付について(申請条件、対象、給付内容等)(3分38秒)是非ご覧ください。
動画は「画像」をクリックすれば再生されます。




1.療養(補償)等給付

 

1-1 療養の給付
 業務または通勤が原因で負傷したり、病気にかかって療養を必要とするとき、医療機関で治療・診察などを受けるときに、窓口負担なく診療を受けることが出来る制度です。薬局での支払いも対象になりますので、申請を忘れないようにしましょう。窓口では業務災害であることを伝えてください。 

1-2 療養の費用支給
 療養等給付のうち、労災病院や労災指定病院以外で診療や治療を受けた時には、窓口で一時的に費用を支払う必要があります。ですが、この診療や治療にかかった費用を給付として後日返金してもらうのが療養の費用支給です。

 例:業務上けがをして、車いすを購入した時に療養の費用を行うことにより、かかった費用が戻ってくることとなります。

~Point~

Q:費用支給には請求期限がありますか?


A:あります。
 療養の給付については現物給付であることから、請求権の時効は問題とはなりませんが、療養の費用は、費用の支出が確定した日の翌日から2年を経過すると、時効により請求権が消滅しますのでご注意ください。


参考:厚生労働省ホームページ(2024) 療養(補償)等給付の請求手続 p.3


2.休業(補償)等給付

 
 
 休業補償給付とは、業務または通勤が原因となった負傷や疾病による療養のため労働することができず、そのために賃金を受けていないとき、療養をするために仕事ができない期間の生活保障のような存在です。休業4日目から給与の約8割の額が支給されます。
※休業補償給付は要件に該当する限り、期間に制限はありませんが、1年6ヶ月で傷病補償年金が適用されなかった場合は引き続き休業補償給付が適用されます。

~Point~

Q:休業給付において注意は?


A:満たすべき要件があります。
①業務上の事由または通勤による負傷や疾病による療養のため
②労働することができないため
③賃金を受けていないこと
という3要件を満たす場合に、その第4日目から、休業(補償)等給付と休業特別支給金が支給されます。

参考:厚生労働省ホームページ(2024) 休業(補償)等給付・傷病(補償)等年金の請求手続 p.1


3.傷病(補償)等年金

 
 
 業務または通勤が原因となった負傷や疾病の療養開始後1年6ヶ月を経過し、かつ
( 1 )その負傷または疾病が治っていないこと。
( 2 )その負傷または疾病による障害の程度が傷病等級表の傷病等級1級から3級に該当するとき。
 全ての要件に該当するとき、傷病補償年金が給付されます。

~Point~

Q:労災保険における傷病が「治ったとき」とは?

A:完治だけでなく、これ以上良くならないという症状が固定した状況も含みます。
 身体の諸器官・組織が健康時の状態に完全に回復した状態のみをいうものではなく、傷病の症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態をいい、この状態を労災保険では「治ゆ」(症状固定)といいます。 
したがって、「傷病の症状が、投薬・理学療法等の治療により一時的な回復がみられるにすぎない場合」など症状が残存している場合であっても、医療効果が期待できないと判断される場合には、労災保険では「治ゆ」(症状固定)として、療養(補償)等給付を支給しないこととなっています。

参考:厚生労働省(2024) 休業(補償)等給付・傷病(補償)等年金の請求手続 p.11-12


4.障害(補償)等給付

 

  業務または通勤が原因となった負傷や傷病が治癒している場合で身体に一定の障害が残ったら障害の等級に合わせて障害補償給付が支給されます。
 1級から7級は年金、8級から14級は一時金が支給されます。

~Point~

Q:従業員からまとまった支給で欲しいと言われたら?

A:障害(補償)等年金を受給することとなった方は、1回に限り、年金の前払いを受けることができます。

 前払一時金の額は、障害等級に応じて定められている一定額の中から、希望するものを選択できます。ただし、前払一時金が支給されると、障害(補償)等年金は、各月分の合計額が、前払一時金の額に達するまでの間支給停止されます。

参考:厚生労働省ホームページ(2024) 障害(補償)等給付の請求手続 p.11


5.介護(補償)等給付



 傷病補償年金もしくは障害補償年金の受給者等が1級か2級で介護受けていると、支給される給付金です。ただし、給付においては民間の有料の介護サービスなどや親族または友人・知人により、現に介護を受けていることが必要です。

 加えて病院または診療所や介護老人保健施設、介護医療院、障害者支援施設(生活介護を受けている場合に限る)、特別養護老人ホームまたは原子爆弾被爆者特別養護ホームに入所していないことが必要です。これらの施設に入所している間は、施設において十分な介護サービスが提供されているものと考えられることから、支給対象とはなりません。

~Point~

Q:常時介護が受けていない状態では給付されませんか?


A:一部だけ介護が必要な随時介護状態でも給付を受けることができます。
 介護(補償)等給付は、障害の状態に応じ、常時介護を要する状態と随時介護を要する状態に区分されます。常時介護は、日常生活全般にわたっての介護をさします。随時介護は、日常生活の一部について介護が必要な状態をさします。

参考:厚生労働省ホームページ(2024) 介護(補償)等給付の請求手続 p.1


6.遺族(補償)等給付

 
 
 労災で死亡した場合、死亡当時にその方(労働者)の収入で生計を維持していた一定の範囲の遺族に支給される給付金です。年金と一時金の2種類があり、受給者(遺族)の状況により決まります。
 遺族(補償)等年金の受給資格者となるのは、被災労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹ですが、妻以外の遺族については、被災労働者の死亡の当時に一定の高齢または年少であるか、あるいは一定の障害の状態にあることが必要です。

~Point~

Q:死亡当時にその方(労働者)の収入で生計を維持していたとは?


A:労働者のみ限らず共働きも含まれます。
 もっぱらまたは主として被災労働者の収入によって生計を維持していた場合だけでなく、被災労働者の収入によって生計の一部を維持していた、いわゆる「共稼ぎ」の場合もこれに含まれます。


参考:厚生労働省ホームページ(2024) 遺族(補償)等給付・葬祭料等(葬祭給付)の請求手続 p.1


7.葬祭料

 労災で死亡された方の葬祭を行うと、支給されます。給付額は315,000円+給付基礎日額の30日分又は給付基礎日額の60日分のいずれか高い方となります。葬祭料等(葬祭給付)の支給対象は、必ずしも遺族とは限りませんが、通常は葬祭を行うにふさわしい遺族となります。
 なお、葬祭を執り行う遺族がなく、社葬として被災労働者の会社が葬祭を行った場合は、その会社に対して葬祭料等(葬祭給付)が支給されることとなります。

~Point~

Q:社葬となった際の請求期限はありますか?


A:あります。
 遺族・社葬のどちらでも葬祭料等(葬祭給付)は、被災労働者が亡くなった日の翌日から2年を経過すると、時効により請求権が消滅しますのでご注意ください。


参考:厚生労働省ホームページ(2024) 遺族(補償)等給付・葬祭料等(葬祭給付)の請求手続  p.15


8.特別加入制度

 特別加入制度とは、労働者以外の方のうち、業務の実態や、災害の発生状況からみて、労働者に準じて保護することがふさわしいと見なされる人に、一定の要件の下に労災保険に特別に加入することを認めている制度です。特別加入できる方の範囲は、中小事業主等・一人親方等・特定作業従事者・海外派遣者の4種に大別されます。

 なお、家族従事者は事業主と同居及び生計を一にするものであり、原則として労働基準法上の労働者には該当しません。しかし、事業主が同居の親族以外の労働者を使用し、業務を行う際に、事業主の指揮命令に従っていることが明確であること、また、就労形態が当該事業場の他の労働者と同様であれば、家族従事者であっても労働者として見なされる場合があります。

~Point~

Q:フリーランスで活動していると特別加入は出来ないのでしょうか?


A:対象に該当していれば加入出来ます。
 2024年11月からはフリーランスも特別加入が出来るようになるなど制度の適用対象が広がっています。対象とは「フリーランス(特定受託事業者)が企業等(業務委託事業者)から業務委託を受けて行う事業(特定受託事業)」または「フリーランスが消費者(業務委託事業者以外の者)から委託を受けて行う特定受託事業と同種の事業」(他に特別加入可能な事業または作業を除く)が対象となります。気になる方は是非ご相談頂ければと存じます

参考:厚生労働省ホームページ FAQ 特別加入制度とは何ですか。  
   厚生労働省ホームページ フリーランスの皆さまへ  


9.まとめ
 
 労災保険の給付内容について知ることができましたでしょうか?労災保険の給付については申請をしないと受け取れません。
本来、申請出来たであろうものが『知らなかったから申請していなかった』といったことが無い様、日ごろから注意しておくことが大切です。
より詳しく知りたい方、もしもに備えて聞いておきたい
と思われましたらA社会保険労務士法人にご相談ください。


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