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【京都の社労士コラム】企業型DC・中退共の徹底比較について

2024年09月26日

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A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。

 このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。
今回のテーマは、「企業型DC・中退共の徹底比較について」です。
 企業における退職金制度は、従業員の将来の生活設計に大きく影響します。
その中でも、中小企業退職金共済(中退共)と企業型確定拠出年金(企業型DC)は、特に注目される選択肢です。
どちらの制度も企業の福利厚生として利用されていますが、その仕組みやメリット、従業員への影響は異なります。
今回は、中退共と企業型DCの特徴やメリットを比較し、企業が選択する際にどのような点に注目すべきかを解説します。


1.制度概要について

 企業型DC、中退共、共に老後資金準備の制度です。



※1選択制拠出・マッチング拠出

2.対象企業
 
 企業型DCは、対象事業所の規模、業種に関わりなく導入が可能です。




3.加入対象者
 
 企業型DCは、基本的に他制度との併用は可能ですが、他の企業年金制度※1との併用の場合は企業型DCの拠出限度額は27,500円となります。(iDeCoの併用加入の場合は15,500円)

※1他の企業年金:厚生年金基金、確定給付企業年金、石炭鉱業年金基金、私立学校教職員共済



 
※2 中退共制度と併用することは可能ですが、同一の従業員が両制度に同時に加入することはできません。


4.掛金

 企業型DCの選択制掛金の場合、掛金は所得とみなされず非課税となり、社会保険も算定対象外となります。


※1 他の企業年金:厚生年金基金、確定給付企業年金、石炭鉱業年金基金、私立学校教職員共済
※2 選択制掛金、マッチング拠出


5.受取り

 企業型DCは、中途退職時の受け取りが原則できません。
受け取りは60歳から75歳の内、加入期間により受取開始年齢が異なります.





6.制度移換とポータビリティ

 ポータビリティとは?
企業年金制度を実施している企業間において、加入者が転籍をした場合に以下の対応
を実施することを指します。


①転籍前の会社で管理している転籍者に係る積立金を転籍後の会社に引き渡す

②転籍後の会社は引き渡された積立金を当該転籍者のための積立金に充当する

③転籍前後の勤務期間を通算した機関に対応する給付を行う







7.事業主返還制度


事業主返還とは?
事業主返還とは、企業型の加入者が、勤続期間3年未満で自己都合退職、諭旨退職または懲戒解雇した場合などに限り、その者の年金資産のうち、事業主が拠出した掛金の全部または一部を事業主に返還することであり、そのように規約で定めることで実施できます。







8.メリット・デメリット

 企業型DCの最大のメリットは企業ごとに「運用の自由度が高い」点です。
加入者が自ら運用商品を選択し、運用の成果によって退職金が変動します。
企業や従業員にニーズに合わせた柔軟な運用が可能です。





9.比較

 企業型DCは、従業員が退職後も他の制度へ移換し、個人で運用を続けられる柔軟性が特徴です。
一方、中退共は、主に中小企業向けの退職金制度であり、退職時に一括して給付を受けるため、他の制度へ移換は出来ません。
運用や受給方法の自由度が大きな違いです。



※拠出限度額とは、確定拠出年金法で定められた加入者1人あたりの企業型、個人型(iDeCo)の積み立て限度額です。


10.まとめ
 
 企業型DCは、中退共と比較して企業にとってコストコントロールがしやすいだけでなく、従業員ごとに運用益が異なるため、個別に最適な資産形成が可能です。
さらに、企業の財務リスクが軽減され、退職金制度の透明性も向上するため、長期的に企業にとってメリットが大きい制度です。
これらの点から、従来の退職金制度に比べて企業型DCの導入がますます重要視されています
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