ブログ

【京都の社労士コラム】同一労働同一賃金の基礎のおさらい!

2024年06月27日

ブログ一覧戻る



A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。


 このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。
 本日は、同一労働同一賃金についてご案内致します!!

 同一労働同一賃金とは、非正規社員及び正社員同じ業務内容であれば、同じ賃金が支払われるという原則です。働き方改革の一環で、すべての企業に義務づけられているルールであり、大企業から順次適用が始まっています。

 同一労働同一賃金の原則は、大企業と中小企業それぞれいつから適用されているか。また、具体的にどのような対応が求められるか。

 今回の記事では、同一労働同一賃金基礎をおさらいするとともに、メリット・デメリット法律が施行された時期違反に対する罰則賞与などについてのご案内です。 

同一労働同一賃金の適用はいつから?

 同一労働同一賃金は、2020年4月1日から大企業2021年4月1日から中小企業に適用されています。つまり現在すべての企業は、正社員非正規社員不当な待遇格差の解消を目指して、仕組みを構築することが求められています。

 同一労働同一賃金の原則の根拠とされるのは、パートタイム・有期雇用労働法労働者派遣法。この2つの法律を含む労働関連法が働き方改革関連法として、まとめて改正されたのが2018年6月です。そこから年度をまたいで順次施行され、現在にいたります。

同一労働同一賃金とは?

 同一労働同一賃金とは、どの雇用形態であっても同じ企業同じ仕事をしている従業員には、同額の賃金が支払われるという考え方です。働く人がどのような雇用形態を選択しても、不合理な待遇を受けないように格差の是正を目指しています。
同一労働同一賃金の目的

 同一労働同一賃金の目的は、同じ仕事をする従業員を同じ待遇として扱うことで、雇用形態などによる格差をなくし、納得感の得られる公正な労働環境を実現することです。

 従業員が適切な賃金や待遇を受けられ、モチベーションが向上すれば、企業側は労働生産性定着率の改善などの恩恵が得られることが期待され、さらに社会全体で賃金水準が均等化されると、経済的不平等を緩和する効果が期待されるため、同一労働同一賃金は働き方改革の目玉とされています。

同一労働同一賃金ガイドラインが示す4項目の均等化

 同一労働同一賃金ガイドラインとは、正社員パート・アルバイトなど非正規社員で待遇に差があるとき、合理・不合理の判断基準を具体例を交えながら厚生労働省によって示したものです。以下の4項目の均等化を実現するよう、企業側に求めています。
① 基本給・昇給
 同一労働同一賃金ガイドラインでは、実態として雇用形態業務内容が同じであれば同一の賃金内容を、違いがあれば違いに応じた賃金内容を支給しなければならず、基本給が支払われる基準は企業によってさまざまです。

 ✅従業員の能力や経験に応じて支払う
 ✅業績や成果に応じて支払う
 ✅勤続年数などに応じて支払う
※ それぞれの実態にあわせて合理的な賃金を支払わなければなりません。

 従業員の能力向上による昇給についても、同等レベルに能力が上がったのであれば、同一の賃金が支払われるべきとされています。

② 賞与
 同一労働同一賃金ガイドラインでは、賞与に関しても、企業の業績などの従業員の貢献に応じて支給するものについては、同一の貢献には同一の賞与を、違いがあれば違いに応じた賞与を支給しなければならないとしています。

③ 各種手当
 各種手当においても、基本給や賞与と同様です。たとえば役職手当であれば同じ役職には能力や勤務年数にかかわらず同じ手当を支給しなければならないと、同一労働同一賃金ガイドラインに記されています。

 そのほか手当に関しても、対象の従業員が同じ支給要件を満たす場合は条件に当てはまっていれば同一の手当を支給する必要があります。例として以下のような手当が挙げられます。

 ✅特殊作業手当
 ✅特殊勤務手当
 ✅精皆勤手当
 ✅時間外労働手当の割増率
 ✅深夜・休日労働手当の割増率
 ✅通勤手当
 ✅出張旅費
 ✅労働時間に定める休憩時間の食事手当
 ✅単身赴任手当
 ✅地域手当

④ 福利厚生・教育訓練の機会
 同一労働同一賃金ガイドラインに記されているのは、基本給や賞与など物理的に支払われるものだけではありません。

 ✅食堂や休憩室、更衣室など福利厚生施設の利用
 ✅転勤の有無などの要件が同一の場合の転勤者用社宅
 ✅慶弔休暇や健康診断にともなう勤務免除・有給保障

 病気での休職については、無期雇用の短時間労働者には正社員と同じ内容有期雇用労働者にも労働契約が終了するまでの期間を踏まえて同じ内容での付与が必要です。有給休暇そのほかの休暇においても、勤続期間に応じて認めているものは、同一の勤続期間であれば同じ内容で付与する必要があるのです。

 また現在の職務に必要な技能・知識を習得するための教育訓練は、同一の職務内容であれば同一の、違いがあれば違いに応じた内容を実施するように心掛けましょう。

参照:『同一労働同一賃金ガイドライン』厚生労働省

問題とならない、問題となる具体例

【 問題とならない事例 】

 特殊なキャリアコースを選択した結果、スキルアップした正社員の基本給を非正規社員より高くすることは、同一労働同一賃金の問題にはなりません。特殊なキャリアコースを選択したという事実がある場合、それは正社員の能力ワンランクアップさせたことになるため、それを理由に基本給に格差をつけるのは、正当な理由となるのです。

 また職業経験勤務地に変更がある正社員の基本給を非正規社員より高くすることも同一労働同一賃金の問題とはなりません。転勤という形で、住まいを変更する必要のある正社員は多いですし、この場合同じ仕事をしていても労働契約時の条件には非正規社員とは大きな違いがあります。

 正社員非正規社員の待遇格差を生じさせる合理的理由があれば、差別的取り扱いとは見なされません。

【 問題となる事例 】

 正社員には職務内容貢献等にかかわらず支給している賞与を非正規社員には支給しない場合、同一労働同一賃金の原則にのっとると問題となるのです。職務内容や貢献度に関係がないということは、正社員と非正規社員の区別なく同等に取り扱うべきであることを意味します。労働内容が同じであれば、当然、非正規社員にも賞与を支給すべきです。

 ほかには、役職(たとえば店長)も責任の範囲・程度が同じであるにも関わらず、非正規社員の店長には正社員の店長より低額の役職手当を支給するといったケースの場合、同一労働同一賃金の原則から考えると問題があります。役職も同じで責任の範囲程度が同程度ならば、役職手当に関しても正社員と非正規社員との待遇格差は認められません。

 実社会では、このような問題とされる制度が放置されているケースもあります。自社の制度が問題となるケースに当てはまらないかどうか、慎重に精査が必要です。

同一労働同一賃金に違反した場合の罰則は?

 同一労働同一賃金に関して厚生労働省が定めたガイドラインに法的拘束力はありません。したがって、原則やガイドラインに違反したとしても企業側に罰則はありません。

 ただし雇用形態の違いによって格差を設けていた場合、それを不服に感じた従業員から訴訟を起こされる可能性があります。企業が訴訟を起こされたら、同一労働同一賃金の考えにのっとって合理的な説明ができなければなりません。

 また罰則や訴訟がないからといって、同一労働同一賃金に反して不合理な格差を設けていると、従業員の満足度モチベーション低下し、企業の信頼を損ねる可能性があります。労働生産性が落ちたり離職率が高まったりするリスクも考えられるため、日頃より企業として対策をとっておくことをおすすめします。
 
同一労働同一賃金のメリット・デメリット

【 企業側 】
✅メリット
 同一労働同一賃金のメリットは、ルールを徹底することで従業員が待遇に公平性納得を感じやすくなり、モチベーションや自社へのエンゲージメントが高まることです。

 それによって業務効率業績が向上したり、定着率採用にも好影響が期待できます。従業員の不満不平等感が解消されるため、職場の人間関係がよくなる可能性もあります。

✅デメリット
 これから同一労働同一賃金に対応する場合、制度の改訂再設計にコストがかかるためデメリットに感じる企業もいるかもしれません。給与体系や待遇に何らかの不合理な格差があれば、人事制度を整える必要があります。

 同一労働同一賃金は、どこまでを同一労働とみなすか、どれくらいの違いであれば許容できるかなど、明確な判断が難しいこともあります。検討には手間と時間がかかるといえます。また、同一労働同一賃金の仕組みを整えることで、これまで低い待遇だった従業員の給与水準が上がり人件費が増加するデメリットも考えられます。

【 従業員側 】
✅メリット
 同一労働同一賃金では、同じ業務内容であれば、雇用形態にかかわらず同一の待遇を受けられるようになるため、これまで不合理な格差を強いられていた従業員は、給与が上がるなどの好影響を受けられます。

 また正規雇用非正規雇用格差が縮まることで、自由な働き方を求める従業員にとっては、ワークライフバランスを重視して非正規雇用で働くという選択肢も取りやすくなるといえます。

✅デメリット
 同一労働同一賃金はコスト面で負担がかかり、非正規雇用を縮小する企業もあらわれるかもしれません。従業員側からすると、正社員以外の雇用形態で仕事を探しにくくなるデメリットが生じる可能性もあります。

 また非正規雇用の待遇改善のために、企業全体の給与水準が下がったり、業務以外の評価で高い報酬を得ていた従業員の待遇が見直されたりするケースも考えられます。これまで不合理な格差によって恩恵を得ていた従業員がいたのなら、格差の見直しをデメリットと考えるかもしれません。

同一労働同一賃金で企業に求められる対応

 同一労働同一賃金への対応が不十分だと感じている企業は、まず厚生労働省のガイドラインなどを見て、自社にはどのような対策が必要なのかを確認し、同一労働同一賃金にのっとった待遇にするために、自社での雇用形態ごとの業務内容労働条件の違いを明確にしましょう。

 厚生労働省のガイドラインなどの内容を確認したうえで、自社に不合理な待遇の格差がある場合は修正を行い、業務内容労働条件が同じであれば待遇も同じになるように調整しましょう。

 同一労働同一賃金への対応を進める中で、必要に応じて評価制度を変えたり、手当の内容を見直さなければならなかったりする場合もあるでしょう。また待遇の改善によって人件費が増える可能性もあるため、その分生産性を高める取り組みなども平行して進めるとデメリットを最小限に抑えられるかもしれません。

まとめ

同一労働同一賃金は、雇用形態などに関係なく同じ仕事をしているのであれば同じ待遇にしなければならないという考え方です。

 2020年4月から法律で同一労働同一賃金の原則大企業に適用され、翌年には中小企業にも適用されています。違反による罰則はありませんが、同一労働同一賃金を守らないと従業員に不利益が生じたり、企業にとってもリスクがあったりするため、不合理な待遇格差がある場合は対応が必要といえます。

 同一労働同一賃金に対応するには、日頃から従業員雇用形態業務内容労働条件など人材情報を集約して管理しておくことをおすすめします。情報を見える化しておくと「同一労働同一賃金のガイドライン」にのっとった、雇用条件賃金規定など待遇にかかわる制度改訂もよりスムーズに進めることができるでしょう。

参照:『同一労働同一賃金ガイドライン』厚生労働省


手続きサポートはA社会保険労務士法人まで!!
 
 法改正に対応した労務相談や就業規則の作成・改定、労使協定の締結、各種助成金の申請支援などを行っています。
 助成金の活用や労働保険・社会保険関係の手続きなど人事労務に関することはA(エース)社会保険労務士法人にお任せください!


 また、勤怠・労務管理のDX化、Web給与明細や社会保険・労働保険手続き、給与計算、企業型確定拠出年金の導入など様々なサービスを提供していますのでお気軽にご相談ください。

『社労士×AI』の新サービスのご案内



      









こんなお悩みは弊社にご相談ください









税金が高い!社会保険料が高い!お悩みの方
 
是非、動画をご覧ください!!

    <画像をクリックすると動画を視聴できます>



      動画ではお伝えしきれない内容を、下記の無料個別相談会で詳しくご説明いたします。
      ご希望の日程を申込いただき、是非ご参加ください。



★★★ 無料個別相談会 ★★★
  ⇩ ⇩ ⇩ 









ご相談はお問合せフォームから

 









A社会保険労務士法人 2024