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【京都の社労士コラム】2026年10月から社会保険の加入ルール法改正!

2026年09月08日

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 A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。

 このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。

 2026年10月から、社会保険の加入要件が大きく変わります。これまで加入条件の1つであった「月額賃金 8.8万円以上」という基準が廃止されます。

 月収がいくらであっても、週20時間以上働いているパートタイマー・アルバイト従業員などは、社会保険の加入対象者となります。(週20時間以上という労働時間の条件は引き続き継続されます。)

 今回は、2026年10月から社会保険加入対象者の範囲が拡大される法改正についてご案内いたします。

※(参照)日本年金機構:「社会保険適用拡大ガイドブック」


これまでの加入要件とは

 社会保険(健康保険・厚生年金)に加入するためには、通常の「週30時間以上」という基準とは別に、パートタイマー・アルバイト従業員などの短時間労働者向けの特別な基準があります。

 従業員51人以上(社会保険加入者のみ人数)の企業では、以下の5つの要件をすべて満たす短時間労働者が社会保険の加入対象者となっています。
1.週の所定労働時間が20時間以上
2.月額賃金が8.8万円以上(年収106万円相当)
3.雇用期間が2か月を超える見込みがある
4.学生でない
5.従業員51人以上の企業に勤務している

※この5つがすべて揃って初めて加入対象者となるため、「週20時間以上働いていても月収が低ければ対象外」という状況であった。

2026年10月からの変更とは

 2026年10月1日から、上記2.の「月額賃金8.8万円以上」という要件が廃止されます。 

 法改正後の加入要件は次のとおりです。
1.週の所定労働時間が20時間以上
2.雇用期間が2か月を超える見込みがある
3.学生でない
4.従業員51人以上の企業に勤務している

※月収の多い少ないに関係なく、週20時間以上働いていれば加入対象になります。「106万円の壁」と呼ばれていた賃金要件がなくなることで、これまで対象外であった低賃金の短時間労働者が新たに社会保険へ加入することになります。

従業員50人以下の企業はどうなるのか

 「週20時間以上」という基準は、従業員51人以上の特定適用事業所だけに適用されるルールです。従業員50人以下の企業は、令和8年10月時点ではこの特例の対象外であり、原則どおり「4分の3基準」だけで加入の要否を判断します。

 50人以下の企業では、週20時間以上働いているパートタイマー・アルバイト従業員などでも、4分の3基準(通常の労働者の所定労働時間および所定労働日数の4分の3以上、多くの企業で概ね週30時間以上)を満たさなければ、社会保険の加入義務はありません。

 ただし、次の2点に注意が必要です。
1.任意で特定適用事業所になることができる
 従業員50人以下でも、働く人の2分の1以上の同意など所定の労使合意を得たうえで事業主が申し出を行えば、自ら特定適用事業所になることができます。この場合は週20時間基準が適用され、週20時間以上のパートタイマー・アルバイト従業員なども加入対象になります。任意加入の制度です。

2.2027年10月以降は対象になる可能性がある
 企業規模要件は段階的に引き下げられ、「2027年10月に36人以上」、「2029年10月に21人以上」、「2032年10月に11人以上」、そして「2035年10月には全企業」が対象となる予定です。現在50人前後の企業は、2027年10月から新たに週20時間基準の対象になる可能性があります。今は、4分の3基準だけで済んでいても、数年後に判断基準が変わる点は押さえておいてください。

週20時間未満に抑えれば加入を免れるのか

 保険料負担を避けるために「週20時間未満に従業員との雇用契約を交わし直せばよいのでは」と考える事業主は少なくありません。理論上、週の所定労働時間が20時間未満であれば短時間労働者の加入要件を満たさないため、加入は不要になります。ただし、実務では次の2つの落とし穴があります。

【 判断基準は「雇用契約書の所定労働時間」ですが、実態が常態化すれば加入義務が生じる 】

 大前提として、「週20時間以上」を満たすかどうかは、就業規則や雇用契約書で定めた所定労働時間で判断します。実際の労働時間ではありません。そのため、一時的に時間が増減しても、すぐに資格の得喪が起こるわけではありません。たとえば所定労働時間20時間以上で加入している従業員が、ときどき20時間未満の週があっても、すぐに資格を失うわけではありません。逆に、所定労働時間20時間未満で未加入の従業員が、繁忙期に一時的に20時間を超えた程度であれば加入対象にはなりません。

 このルールを逆手に取り、「実態は20時間以上だが、加入させないために契約書上は20時間未満にする」という方法は認められません。日本年金機構などの取扱いでは、週の所定労働時間が20時間に満たない場合でも、実労働時間が2か月連続で週20時間以上となり、引き続き20時間以上が見込まれるときは、3か月目から社会保険に加入するとされています。20時間以上の勤務が常態化していれば、契約書上の数字にかかわらず加入対象になります。これは年金事務所の調査で最も指摘されやすい論点です。

【 人手と定着への影響が大きい 】

 医療・介護の現場で1人あたりの時間を20時間未満に抑えると、必要なシフトを組むために頭数が増え、かえって採用・教育コストが膨らむことがあります。また、将来の年金や傷病手当金・出産手当金を理由に、従業員本人が加入を望むケースもあります。

 結論として、「20時間未満に抑える」よりも、加入を前提に保険料負担を織り込んだ給与・シフト設計へ切り替えるほうが、長期的にはトラブルが少ない場合が多いです。ただし従業員の希望や経営体力によって変わるため、人数と負担額のシミュレーションが前提になります。

まとめ 

 2026年10月から、パートタイマー・アルバイト従業員などの社会保険加入要件のうち「月額8.8万円以上」という賃金要件が廃止されます。週20時間以上働いているパートタイマー・アルバイト従業員などは、月収に関係なく加入対象となります(従業員51人以上の企業が対象)。

 企業規模要件は今後も段階的に拡大され、2035年10月には全企業が対象となる予定です。

【 確認事項 】

✅ 週20時間以上働いているパートタイマー・アルバイト従業員などの一覧を作成
✅ 月収8.8万円未満のパートタイマー・アルバイト従業員などの精査(賞与・残業代・通勤手当などを除いた所定内賃金で判定)
✅ 雇用契約書の内容(週所定労働時間・雇用期間)を確認
✅ 新たに加入対象となるパートタイマー・アルバイト従業員などの人数と保険料負担額を試算
✅ 必要に応じて給与システムの設定変更・雇用契約書の更新
✅ 2026年10月1日付で資格取得届の提出準備

 「何人が新たに加入対象者となるのか」、「加入者が増えた場合、保険料の負担額はどのくらいになるのか」、特に気を付けていただきたいのが「週20時間」のパートタイマー・アルバイト従業員などについては、実態の労働時間と雇用契約書の記載が一致しているのか、改めて確認いただくことをお勧めします。

※(参照)日本年金機構:「短時間労働者に対する健康保険・厚生勤保険の適用拡大」

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