ブログ A(エース)社会保険労務士法人[トップページ] ブログ[一覧] コラム[一覧] 【京都の社労士コラム】【2026年7月施行】障害者法定雇用率2.7%へ|障害者雇用率引き上げで企業に求められる対応とは? お客様の声[一覧] コラム[一覧] 【京都の社労士コラム】【2026年7月施行】障害者法定雇用率2.7%へ|障害者雇用率引き上げで企業に求められる対応とは? 2026年05月27日 ブログ一覧に戻る A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。 このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。 今回は、2026年7月に予定されている「障害者法定雇用率」の引き上げについて、制度概要や企業への影響も含めてご案内いたします。 近年、人的資本経営やESGへの注目が高まる中、障害者雇用は単なる法令遵守ではなく、企業価値向上や持続的成長に関わる重要テーマとなっています。 一方で、「制度が複雑でよくわからない」「どこまで対応すべきか判断できない」「採用しても定着につながらない」といった課題を感じている企業も少なくありません。 そこで今回は、2026年の法改正ポイントと、今後企業に求められる実務対応について整理していきます。 そもそも『障害者法定雇用率制度』とは? 障害者法定雇用率制度とは、「障害者雇用促進法」に基づき、一定規模以上の事業主に対して、障害者を一定割合以上雇用することを義務付ける制度です。企業は、常用雇用している労働者数に応じて、法定雇用率以上の障害者を雇用する必要があります。現在の民間企業の法定雇用率は「2.5%」ですが、2026年7月より「2.7%」へ引き上げられる予定です。■ 障害者雇用義務の対象企業現在は、常用雇用労働者数が「40.0人以上」の企業に、障害者雇用義務があります。しかし、2026年7月以降は法定雇用率引き上げに伴い、対象範囲が拡大されます。【現行】40.0人以上【2026年7月以降】37.5人以上つまり、従業員38人規模の企業でも、新たに障害者雇用義務が発生する可能性があります。特に中小企業にとっては、「これまで対象外だった」が、突然“法対応が必要な企業”になるケースも考えられます。■ 「常用雇用労働者」とは?障害者雇用率を計算する際の基準となるのが、「常用雇用労働者数」です。常用雇用労働者とは、・週所定労働時間20時間以上・1年以上継続雇用見込みの従業員を指します。正社員だけでなく、一定条件を満たす契約社員・パート社員なども含まれます。また、週20時間以上30時間未満の従業員は、「短時間労働者」として0.5人換算されます。■ 法定雇用障害者数の計算方法 企業が雇用しなければならない障害者数(法定雇用障害者数)は、以下の計算式で算出します。【計算式】 【例①】正社員119人 短時間労働者2人の場合 (119+2×0.5)×2.7% =120×2.7% =3.24 → 法定雇用障害者数「3人」 つまり、この企業では最低3人の障害者雇用が必要になります。【例②】常用雇用労働者200人の場合 200×2.5%=5人 ↓ 200×2.7%=5.4人 → 小数点以下切り捨てで「5人」 一方で、常用雇用労働者300人の場合は、 300×2.5%=7.5人 → 7人 300×2.7%=8.1人 → 8人 となり、追加で1人の雇用が必要になります。このように、従業員規模によって、実際の影響人数は異なります。 参考:厚生労働省『障害者雇用率制度について』 厚生労働省『障害者の法定雇用率引き上げと支援策の強化について』 法定雇用率未達成の場合は? 法定雇用率を満たしていない場合、一定規模以上の企業には「障害者雇用納付金」の納付義務が発生します。納付金額としては、法定雇用障害者数に不足する人数1人あたり、月額50,000円の納付金が課されます。■ 納付金を払えば問題ない?「納付金を払えばよい」と考えられることもありますが、実際にはそれだけでは済みません。障害者雇用率未達成企業に対しては、一定期間にわたり改善が見られない場合には、行政指導や企業名公表の対象となる場合もあります。 さらに近年では、求職者・投資家・取引先などから「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)」への取り組みが重視される傾向が強まっており、障害者雇用への姿勢そのものが企業評価につながる時代になっています。そのため、単なる“罰金”として捉えるのではなく、企業経営上の重要テーマとして考える必要があります。 ~POINT~ 【障害者雇用納付金】とは? 障害者を雇用する企業の経済的負担を調整し、障害者雇用全体を促進するための制度です。簡単にいうと、「法定雇用率を満たしていない企業から納付金を徴収し、積極的に障害者雇用を行っている企業へ助成・調整金を支給する」仕組みとなっています。納付金の対象となるのは、『常用雇用労働者数100人超』の企業となります。 参考:高齢・障害・求職者雇用支援機構『障害者雇用納付金制度をご存じですか?』 今回の改正で注目すべき『除外率制度』 除外率制度とは、障害者の就業が一般的に難しいとされる業種について、法定雇用率を計算する際、労働者数を一定割合控除できる制度です。例えば、建設業・運輸業・医療関連など、業務特性上、障害者雇用が難しいとされる業種では、これまで一定の除外率が設定されていました。各業種の除外率は以下の通り 今回の法定雇用率引き上げとあわせて、企業が特に注意すべきなのが「除外率制度」の段階的縮小です。現在、国は「障害者雇用はすべての業種で推進すべき」という方向性を強めており、除外率制度は段階的に縮小されています。つまり、これまで除外率によって実質的な雇用義務が軽減されていた企業でも、今後はより実人数ベースでの雇用対応が必要になる可能性があります。特に対象業種の企業では、『これまで未達成にならなかった』『計算上クリアできていた』という企業でも、急に不足人数が発生するケースが考えられます。注意したいのは、障害者雇用は“不足したからすぐ採用できる”ものではないという点です。近年は、障害者採用市場の競争も激化しており、法改正直前になって採用活動を始めても、必要人数を確保できない可能性があります。そのため企業には、「不足人数をどう埋めるか」だけではなく、“継続して活躍できる環境をどう整備するか”という視点が、これまで以上に求められるようになります。 参考:厚生労働省『除外率制度の概要』 企業側に求められる実務対応 前述の“継続して活躍できる環境づくり”ですが、具体的には、以下のような対応が求められます。【1】業務の切り出し・再設計既存業務を整理し、障害特性に応じた業務設計を行う必要があります。「どの業務を任せられるか」ではなく、「どのように業務を再構築するか」という視点が重要になります。【2】受け入れ体制の整備現場理解が不足していると、ミスマッチや早期離職につながります。管理職研修や社内理解促進など、組織全体での受け入れ体制づくりが重要です。【3】定着支援採用後の面談、業務調整、相談窓口設置など、継続就業を支える仕組みも不可欠です。特に精神障害者雇用では、定着支援の質が大きなポイントになります。【4】外部機関との連携ハローワーク、就労移行支援事業所、特別支援学校など、外部支援機関との連携強化も重要です。採用前後のサポート体制を構築することで、企業・本人双方の負担軽減につながります。 今後、企業間競争はさらに激化へ 法改正が近づくにつれて、障害者採用市場の競争激化も予想されます。特に、『大手企業による採用強化』『リモート求人増加』『定着支援充実企業への応募集中』などが進む可能性があります。そのため、法改正直前になってから動くのではなく、今の段階から、✓ 採用戦略の見直し✓ 業務整理✓ 受け入れ環境整備✓ 定着支援設計を進めておくことが重要です。 まとめ 2026年7月の法定雇用率引き上げは、単なる数値変更ではなく、企業の障害者雇用の在り方そのものが問われる改正と言えます。さらに、除外率制度の縮小によって、これまで以上に幅広い業種・企業で実質的対応が必要になります。今後は、「法令対応として行う障害者雇用」から、「組織力向上につなげる障害者雇用」への転換が重要になるでしょう。当社では、障害者雇用に関する制度説明、採用支援、定着支援、受け入れ体制整備などのご相談も承っております。「自社は何から始めるべきか知りたい」「除外率制度の影響を確認したい」という場合は、お気軽にお問い合わせください。 手続きサポートはA社会保険労務士法人まで!! 法令に対応した労務相談や就業規則の作成・改定、労使協定の締結、各種助成金の申請支援なども行っています。 助成金の活用や退職金相談、労働保険・社会保険関係の手続きなど人事労務に関することはA(エース)社会保険労務士法人にお任せ下さい!さらに、福利厚生となる企業型確定拠出年金の導入、勤怠・労務管理のDX化、Web給与明細や社会保険・労働保険手続き、給与計算など、様々なサービスを提供しています。お気軽にご相談ください。 ご相談はお問い合わせフォームから PREV NEXT
【京都の社労士コラム】【2026年7月施行】障害者法定雇用率2.7%へ|障害者雇用率引き上げで企業に求められる対応とは? 2026年05月27日 ブログ一覧に戻る A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。 このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。 今回は、2026年7月に予定されている「障害者法定雇用率」の引き上げについて、制度概要や企業への影響も含めてご案内いたします。 近年、人的資本経営やESGへの注目が高まる中、障害者雇用は単なる法令遵守ではなく、企業価値向上や持続的成長に関わる重要テーマとなっています。 一方で、「制度が複雑でよくわからない」「どこまで対応すべきか判断できない」「採用しても定着につながらない」といった課題を感じている企業も少なくありません。 そこで今回は、2026年の法改正ポイントと、今後企業に求められる実務対応について整理していきます。 そもそも『障害者法定雇用率制度』とは? 障害者法定雇用率制度とは、「障害者雇用促進法」に基づき、一定規模以上の事業主に対して、障害者を一定割合以上雇用することを義務付ける制度です。企業は、常用雇用している労働者数に応じて、法定雇用率以上の障害者を雇用する必要があります。現在の民間企業の法定雇用率は「2.5%」ですが、2026年7月より「2.7%」へ引き上げられる予定です。■ 障害者雇用義務の対象企業現在は、常用雇用労働者数が「40.0人以上」の企業に、障害者雇用義務があります。しかし、2026年7月以降は法定雇用率引き上げに伴い、対象範囲が拡大されます。【現行】40.0人以上【2026年7月以降】37.5人以上つまり、従業員38人規模の企業でも、新たに障害者雇用義務が発生する可能性があります。特に中小企業にとっては、「これまで対象外だった」が、突然“法対応が必要な企業”になるケースも考えられます。■ 「常用雇用労働者」とは?障害者雇用率を計算する際の基準となるのが、「常用雇用労働者数」です。常用雇用労働者とは、・週所定労働時間20時間以上・1年以上継続雇用見込みの従業員を指します。正社員だけでなく、一定条件を満たす契約社員・パート社員なども含まれます。また、週20時間以上30時間未満の従業員は、「短時間労働者」として0.5人換算されます。■ 法定雇用障害者数の計算方法 企業が雇用しなければならない障害者数(法定雇用障害者数)は、以下の計算式で算出します。【計算式】 【例①】正社員119人 短時間労働者2人の場合 (119+2×0.5)×2.7% =120×2.7% =3.24 → 法定雇用障害者数「3人」 つまり、この企業では最低3人の障害者雇用が必要になります。【例②】常用雇用労働者200人の場合 200×2.5%=5人 ↓ 200×2.7%=5.4人 → 小数点以下切り捨てで「5人」 一方で、常用雇用労働者300人の場合は、 300×2.5%=7.5人 → 7人 300×2.7%=8.1人 → 8人 となり、追加で1人の雇用が必要になります。このように、従業員規模によって、実際の影響人数は異なります。 参考:厚生労働省『障害者雇用率制度について』 厚生労働省『障害者の法定雇用率引き上げと支援策の強化について』 法定雇用率未達成の場合は? 法定雇用率を満たしていない場合、一定規模以上の企業には「障害者雇用納付金」の納付義務が発生します。納付金額としては、法定雇用障害者数に不足する人数1人あたり、月額50,000円の納付金が課されます。■ 納付金を払えば問題ない?「納付金を払えばよい」と考えられることもありますが、実際にはそれだけでは済みません。障害者雇用率未達成企業に対しては、一定期間にわたり改善が見られない場合には、行政指導や企業名公表の対象となる場合もあります。 さらに近年では、求職者・投資家・取引先などから「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)」への取り組みが重視される傾向が強まっており、障害者雇用への姿勢そのものが企業評価につながる時代になっています。そのため、単なる“罰金”として捉えるのではなく、企業経営上の重要テーマとして考える必要があります。 ~POINT~ 【障害者雇用納付金】とは? 障害者を雇用する企業の経済的負担を調整し、障害者雇用全体を促進するための制度です。簡単にいうと、「法定雇用率を満たしていない企業から納付金を徴収し、積極的に障害者雇用を行っている企業へ助成・調整金を支給する」仕組みとなっています。納付金の対象となるのは、『常用雇用労働者数100人超』の企業となります。 参考:高齢・障害・求職者雇用支援機構『障害者雇用納付金制度をご存じですか?』 今回の改正で注目すべき『除外率制度』 除外率制度とは、障害者の就業が一般的に難しいとされる業種について、法定雇用率を計算する際、労働者数を一定割合控除できる制度です。例えば、建設業・運輸業・医療関連など、業務特性上、障害者雇用が難しいとされる業種では、これまで一定の除外率が設定されていました。各業種の除外率は以下の通り 今回の法定雇用率引き上げとあわせて、企業が特に注意すべきなのが「除外率制度」の段階的縮小です。現在、国は「障害者雇用はすべての業種で推進すべき」という方向性を強めており、除外率制度は段階的に縮小されています。つまり、これまで除外率によって実質的な雇用義務が軽減されていた企業でも、今後はより実人数ベースでの雇用対応が必要になる可能性があります。特に対象業種の企業では、『これまで未達成にならなかった』『計算上クリアできていた』という企業でも、急に不足人数が発生するケースが考えられます。注意したいのは、障害者雇用は“不足したからすぐ採用できる”ものではないという点です。近年は、障害者採用市場の競争も激化しており、法改正直前になって採用活動を始めても、必要人数を確保できない可能性があります。そのため企業には、「不足人数をどう埋めるか」だけではなく、“継続して活躍できる環境をどう整備するか”という視点が、これまで以上に求められるようになります。 参考:厚生労働省『除外率制度の概要』 企業側に求められる実務対応 前述の“継続して活躍できる環境づくり”ですが、具体的には、以下のような対応が求められます。【1】業務の切り出し・再設計既存業務を整理し、障害特性に応じた業務設計を行う必要があります。「どの業務を任せられるか」ではなく、「どのように業務を再構築するか」という視点が重要になります。【2】受け入れ体制の整備現場理解が不足していると、ミスマッチや早期離職につながります。管理職研修や社内理解促進など、組織全体での受け入れ体制づくりが重要です。【3】定着支援採用後の面談、業務調整、相談窓口設置など、継続就業を支える仕組みも不可欠です。特に精神障害者雇用では、定着支援の質が大きなポイントになります。【4】外部機関との連携ハローワーク、就労移行支援事業所、特別支援学校など、外部支援機関との連携強化も重要です。採用前後のサポート体制を構築することで、企業・本人双方の負担軽減につながります。 今後、企業間競争はさらに激化へ 法改正が近づくにつれて、障害者採用市場の競争激化も予想されます。特に、『大手企業による採用強化』『リモート求人増加』『定着支援充実企業への応募集中』などが進む可能性があります。そのため、法改正直前になってから動くのではなく、今の段階から、✓ 採用戦略の見直し✓ 業務整理✓ 受け入れ環境整備✓ 定着支援設計を進めておくことが重要です。 まとめ 2026年7月の法定雇用率引き上げは、単なる数値変更ではなく、企業の障害者雇用の在り方そのものが問われる改正と言えます。さらに、除外率制度の縮小によって、これまで以上に幅広い業種・企業で実質的対応が必要になります。今後は、「法令対応として行う障害者雇用」から、「組織力向上につなげる障害者雇用」への転換が重要になるでしょう。当社では、障害者雇用に関する制度説明、採用支援、定着支援、受け入れ体制整備などのご相談も承っております。「自社は何から始めるべきか知りたい」「除外率制度の影響を確認したい」という場合は、お気軽にお問い合わせください。 手続きサポートはA社会保険労務士法人まで!! 法令に対応した労務相談や就業規則の作成・改定、労使協定の締結、各種助成金の申請支援なども行っています。 助成金の活用や退職金相談、労働保険・社会保険関係の手続きなど人事労務に関することはA(エース)社会保険労務士法人にお任せ下さい!さらに、福利厚生となる企業型確定拠出年金の導入、勤怠・労務管理のDX化、Web給与明細や社会保険・労働保険手続き、給与計算など、様々なサービスを提供しています。お気軽にご相談ください。 ご相談はお問い合わせフォームから