ブログ

【京都の社労士コラム】法改正目前!国の制度を最大限に生かした、いまから考える”選ばれる企業であり続けるための退職金制度”

2026年04月23日

ブログ一覧戻る




 A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。

 このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。

 今回のテーマは、「法改正目前!国の制度を最大限に生かした、いまから考える”選ばれる企業であり続けるための退職金制度”」です。

深刻な人手不足に直面する今、人材の確保・定着を左右する「福利厚生」の重要性がかつてないほど高まっています。しかし、退職金制度については、十分な対策を講じられていない企業様も少なくありません。内部積立や養老保険、中退共(中小企業退職金共済)など、退職金へのアプローチは多岐にわたりますが、本記事では企業のコスト負担を抑えつつ従業員の資産形成を支援できる「企業型確定拠出年金(企業型DC)」の魅力について解説します。

選ばれる企業であり続けるために退職金制度は欠かせない


「やりがい」よりも「安定」の時代へ。

近年、若年層を中心に企業選びの基準が劇的に変化しています。かつて重視されていた「仕事内容(やりがい)」を抑え、現在トップとなっているのは**「企業の安定性」**です(※1)。
変化の激しい時代だからこそ、働き手は「長く安心して働ける環境」を鋭く見極めています。その象徴とも言えるのが**「退職金制度」です。事実、2024年の調査では、転職者の応募意欲が最も高まる制度として、リモートワークや柔軟な働き方を抑え、「退職金制度があること」が第1位(42.8%)**に選ばれました(※2)。
優秀な人材を獲得し、定着させるためには、目先の条件だけでなく、将来の安心を保障する「退職金制度」の構築が欠かせません
(※1:マイナビ 2023年卒大学生就職意識調査より / ※2:リクルート 2024年転職者アンケートより)


〇企業選択のポイント



マイナビ 2023年卒大学生就職意識調査より


リクルート 2024年転職者アンケートより

必ず選択肢として挙がる中小企業退職金共済との比較


中小企業退職金共済 企業型確定拠出年金
掛金の枠 5,000円~30,000円
3,000円~55,000円
役員加入の是非 役員不可、従業員のみ加入
従業員、役員共に可
受取 退職時
原則60歳以上
拠出時のメリット 掛金は法人の損金算入
法人掛金は法人の損金算入
個人選択分は所得税・住民税
社会保険の算定対象外
運用 機構が資産管理・運用
個人が掛金を運用
人数
38,000社、360万人
(2022年5月末)
47,138社、805万人
(2023年3月末)

1. 経営者・役員自身も「老後資金」を準備できる 
中退共は原則として「従業員のみ」が対象ですが、企業型DCは**「役員」も加入が可能**です。会社を守る経営者ご自身の老後資産形成を、法人の経費(損金)を活用しながら効率的に進めることができます。


2. 社会保険料の適正化・高い節税効果 
中退共のメリットは「法人税の損金算入」に留まります。一方で企業型DCは、掛金が社会保険料の算定対象外となるため、会社・従業員双方の社会保険料負担を抑える効果が期待できます。これは、中退共にはない非常に大きな財務上の利点です。


3.圧倒的な「拠出枠」の広さと柔軟性
中退共の掛金上限が月3万円であるのに対し、企業型DCは最大月5.5万円(さらに2026年12月からは制度改正により、他制度がない場合月6.2万円まで拡充)と、積み立てられる金額の幅が格段に広くなっています。さらに、2026年からはiDeCoとの併用もより柔軟になり、従業員一人ひとりのライフプランに合わせた柔軟な制度設計が可能です。


制度についてまずは動画をご覧ください
※画像をクリックすると動画が再生されます。



「選択制」を用いることで、原資の不安を少なく導入へ
企業型確定拠出年金(企業型DC)の「選択制」は、導入コストを抑えたい経営者様にとって非常に画期的な仕組みです。
「退職金制度を整えたいが、今の業績で新たな拠出金(原資)を出し続けるのは不安だ……」
そんな悩みを抱える経営者様にこそ知っていただきたいのが、企業型DCの「選択制」という仕組みです。

1. 新たな積み立て原資が最小限な理由 
「選択制」とは、現在の給与の一部を「給与として受け取るか」「将来の積み立て(掛金)に回すか」を従業員が自ら選択する仕組みです。
会社が既存の給与体系とは別に新しいお金を用意するのではなく、今の給与の枠組みの中で制度を運用するため、会社側に追加の掛金負担(原資の持ち出し)が発生しません。

2. 社会保険料の適正化によるコスト削減効果 
従業員が掛金を選択した場合、その分は「標準報酬月額」の対象外となります。これにより、会社負担分の社会保険料も軽減されるという大きな財務的メリットが生まれます。
この削減分を運営手数料に充てることで、実質的なコスト負担をゼロやあるいはプラスに転じる場合もあります。

3. 「自分で選べる」ことが満足度につながる 
会社から強制的に給与を削るのではなく、あくまで「今の生活を優先するか、将来の資産形成を優先するか」を従業員が自由に選べるのがこの制度の良さです。
「会社は制度という『場』を提供し、活用するかは個人が決める」というスタンスを取れるため、経営上のリスクを最小限に抑えつつ、大手企業並みの福利厚生を実現できます.


2026年12月法改正に伴い広がる掛金枠


2026年12月1日から、企業型DC・iDeCo・国民年金基金の拠出限度額が引き上げられます。
特に、第2号加入者(厚生年金保険の被保険者)については、勤務先に企業年金があるかどうかでiDeCo上限が分かれていた仕組みが整理され、iDeCoと企業年金等の合計で月6.2万円を上限とする仕組みに変わります。


2026年(令和8年)12月の法改正は、企業型DC(企業型確定拠出年金)を導入している企業や、これから導入を検討する企業にとって、非常に大きな追い風となる内容です。

 2026年12月改正の3つののポイント

1.「枠の使い残し」がなくなる 
これまでは、企業型DCの掛金が少なくても、iDeCoは「月2万円(または2.3万円)」までという別枠の制限に縛られていました。改正後は、「合計6.2万円(DB等がない場合)」という大きな枠をフルに活用できるようになります。

2.誰にとっても分かりやすい仕組みへ 
「自分の会社にはDBがあるからiDeCoはいくらまで……」といった複雑な計算が不要になります。共通のルールで拠出額が決まるため、従業員への説明や制度設計が非常にシンプルになります。

3.資産形成のスピードアップ 
単純に拠出できる上限額が引き上げられるため、特に「もっと積み立てたい」と考えている意欲的な従業員や役員にとって、節税メリットを享受しながら老後資金を準備する絶好の機会となります。


法改正にむけ「いま始めたい企業DC」

導入決定から、実際の導入までは約半年の期間を要します。

※11月に導入決定した場合の実際のスケジュールイメージ

1. 制度開始までには「行政の審査」がある 。
スケジュール表の1月部分にある「厚生局への規約申請」が大きなポイントです。社内での決定だけでなく、国の承認を得るために約3か月前には申請を終えておく必要があります。つまり、逆算すると半年前からの動き出しが必須となります。

2. 「従業員への周知」は丁寧に行う必要がある 
制度を十分に活かすのであれば、「従業員説明会の開催」や「同意取得」は、制度を成功させるための肝となります。特に「選択制」を導入する場合、給与体系に関わるため、従業員の理解を得るための十分な時間が必要です。

3. 2026年12月の法改正に合わせるなら 
今回の大きな法改正(拠出枠拡大)のメリットを初日からフル活用したい場合、逆算すると今から準備を始めても決して早すぎることはありません。 


まとめ

選ばれる企業であり続けるために」

人材確保が経営の最優先事項となった今、退職金制度は単なる「福利厚生」ではなく、企業の「安定性」と「誠実さ」を示す強力なメッセージです。

2026年12月の法改正により、企業型DCはこれまで以上に個人のニーズに寄り添える柔軟な制度へと進化します。特に「選択制」を活用すれば、会社のコスト負担を抑えつつ、従業員一人ひとりに「資産形成のチャンス」を提供することが可能です。

この大きな転換期を、貴社の福利厚生をアップデートする絶好の機会にしませんか?当事務所では、貴社の実情に合わせた最適な制度設計をサポートいたします。
 

手続きサポートはA社会保険労務士法人まで!!

 法令に対応した労務相談や就業規則の作成・改定、労使協定の締結、各種助成金の申請支援なども行っています。 
助成金の活用や退職金相談、労働保険・社会保険関係の手続きなど人事労務に関することはA(エース)社会保険労務士法人にお任せ下さい!
さらに、福利厚生となる企業型確定拠出年金の導入、勤怠・労務管理のDX化、Web給与明細や社会保険・労働保険手続き、給与計算など、様々なサービスを提供しています。お気軽にご相談ください。


ご相談はお問い合わせフォームから












A社会保険労務士法人 2025