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【京都の社労士コラム】生成AIを業務で使う前に知っておきたいリスクと対策

2025年04月21日

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 A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。
 このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。

 今回は、『生成AIを業務で使う前に知っておきたいリスクと対策』についてご案内いたします。

 近年、AIの急速な技術進歩により、誰もが簡単な方法で人間が作成したものと同等、あるいはそれ以上の質のコンテンツを自動で生成できるようになり、多くの企業での活用が進んでいます。しかし、AI導入には多くのメリットがある一方で、様々なリスクも伴います。今回は、企業がとるべき生成AIのリスクと対策について解説いたします。

生成AIの概要と利用状況

そもそも生成AIとは?

生成AIとは、文章や画像など様々なコンテンツを生成できるAIです。

【従来のAI】
適切な答えを予測し、既存コンテンツを出力。決められた行為の自動化が得意。

【生成AI】
新たな答えを創造し、文章や画像など様々なオリジナルコンテンツを生成できる。

生成AIにできること

テキスト生成
既存の文章や特定の条件を元に新しい文章を作り出したりすることはもちろん、ある文章を要約したり、翻訳することも可能です。

画像生成
テキストで指示するだけで、イメージに近いオリジナルの画像を生成できるものや、AIに画像を学習させることで学習させた画像の特徴を持った全く新しい画像を生成するものもあります。

動画生成
テキストで生成したい動画のイメージを入力すると、そのイメージに沿った動画を生成することができます。実際には存在しない人物の動きや、まだ撮影されていない風景の動画を作り出すことができます。

音声生成
音声データを学習させることにより、新たな音声を生成することができます。特定の指示やデータに基づいて、新しい曲や話し言葉を作り出すことができます。

生成AIの活用状況

画像:株式会社帝国データバンク 2023年6月20日 プレスリリースより引用

生成AIの活用場面

単純作業への負担軽減
繰り返し行われる作業の効率化は、生成AIが得意とする領域のひとつです。
顧客からの問い合わせの変更を自動生成するなど、定型作業の労力やコストを削減可能です。

生産性向上
生成AIはテキストや画像を新たに生み出すこともできます。
例えば、生成AIでキャッチコピー案を複数作成し、その中からベストの選択をするというような活用も可能です。

企画立案など
生成AIは、通常のAIでは難しかったオリジナルコンテンツも生成できます。
課題に対しての解決策を、生成AI独自の視点から提示します。思考をまとめるための相談相手としても活できます。

生成AIを業務利用する場合のリスク

生成AIを業務利用する場合、大きく3つのリスクが考えられます。
1.不正確な内容を含んでいる可能性
2.個人情報・機密情報漏洩の可能性
3.他者の権利を侵害する可能性

1.不正確な内容を含んでいる可能性
生成AIの原理 生成AIに使用される大規模言語モデル(LLM)の原理は、
「ある単語の次に用いられる可能性が確率的に最も高い単語」を出力することです。
  ⇩ ⇩ ⇩
もっともらしい文章を作成  ※出力された内容には虚偽が含まれる可能性がある

参考:一般社団法人 日本ディープラーニング協会 生成AIの利用ガイドライン


生成AIには不正確な情報が含まれていることを理解し、内容について根拠や裏付けを使用者自身が確認する必要があります。

2.個人情報・機密情報が漏洩する可能性がある
生成AIは、プロンプト*に入力した情報がデータベースに保存されAIの学習に使われる可能性があります。
そのため、入力した情報は生成AIを通じて流出する可能性があります。
*プロンプトとは、AIに対してユーザーが入力する指示や質問のこと

*個人情報漏洩リスク
個人情報保護委員会では、注意点として以下の2つを挙げています。

個人データをプロンプトに入力する場合、
1.利用目的に即しているかを確認し、その情報が 2.機械学習に利用されないよう設定する必要があります

参考:個人情報保護委員会 生成 AI サービスの利用に関する注意喚起等 

*会社の機密情報漏洩リスク&機密情報が法的保護を受けられないリスク
会社の機密情報は、その情報が漏洩する可能性に加えて、不正競争防止法などの法律の保護を受けられなくなる可能性もあります。

不正競争防止法上で保護される「営業秘密」の要件

非公知性 保有者の管理化以外では一般に入手できないこと。
有用性 当該情報自体が客観的に事業活動に利用されていたり、利用されることによって、経費の節約、経営効率の改善等に役立つものであること。
秘密管理性 営業秘密保有企業の秘密管理意思が、秘密管理措置によって従業員等に対して明確に示され、当該秘密管理意思に対する従業員等の認識可能性が確保される必要があります。
出典:経済産業省

「営業秘密」に該当する情報を生成AIに入力すると、秘密管理性の要件を満たさなくなる可能性があります。
「自由にアクセス」でき、「自由に生成AIに入力」できる状態の情報は営業秘密ではないと判断される可能性があります。

法的保護を受けられないと企業が持つ機密情報が不正に持ち出された場合に、民事上・刑事上の措置をとることができなくなります。

法律上の保護を適切に受けるためにも、「営業秘密」に該当する情報の入力の必要性を考慮して生成AIを利用することが必要です

3.他者の著作権等を侵害する可能性がある
生成AIの生成物が他者の著作権を侵害していないか確認する必要があります。

著作権侵害の要件
類似性 後発の作品が著作物と類似しており、「表現上の本質的な特徴」を直接体感できる場合、類似性が認められます。ありふれた表現方法は著作権侵害の対象になりません。
依拠性 既存の著作物に接し、それを参考にして創作されたことを意味します。既存の著作物を知らずに、偶然一致した場合は著作権の侵害にはならないとされます。
参考:文化庁 令和5年著作権セミナー AIと著作権

*生成AIにおける著作権侵害の判断
生成AIの学習内容はコントロールすることができないため、生成物が既存の著作物に類似しているかどうか、確認する必要があります。類似している場合、依拠性があるかが問題になります。生成AIの学習データセットに既存の著作物が含まれる場合、「依拠性がある」と判断される可能性があります。

生成AIに学習させる場合、既存の著作物に対しての「依拠性」に配慮することが必要です。

生成AI利用における社内規程の重要性

社内で規則を設けてAIを利用している企業は1.2%にとどまっており、従業員がリスクを理解せず、独自に生成AIを利用するケースも見られます。
これらのリスクから会社と従業員を守るため、生成AI利用のルールを明記した社内規程を整備し、適切に運用することが大切です。

生成AI利用規程整備のメリット
生成AI利用のルールを明記した規程を整備・運用することで、会社と従業員を様々なリスクから守ることができます。

まとめ
 
 生成AIの活用が急速に進む中、企業にとってはその利用状況を正確に把握し、業務利用に伴うリスクを十分に認識することが重要です。情報漏洩や誤情報の拡散などのリスクを回避するためには、生成AIに関する明確な社内規程の整備と社員への教育が不可欠です。企業が安全かつ効果的に生成AIを活用していくためには、技術の利便性だけでなく、リスク対策への取り組みが今後ますます求められていくでしょう。

※このまとめの文章は生成AIを利用して作成しました

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