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【京都の社労士コラム】おさえておくべきポイント『インフルエンザ対策!』

2022年12月08日

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A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。

 このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金など の新着ニュースをお届けしてまいります。

 本日は、『インフルエンザ対策』についてお送りします。
 毎年、厳しい寒さとなる12月頃から季節性インフルエンザの流行が始まります。一般的な風邪とは違い、高熱頭痛関節痛筋肉痛などインフルエンザウイルスによって全身の症状が突然現れる感染症です。一旦、流行が始まると短期間で職場内感染が広がることで、人手不足によって業務を通常通りに行うことが難しくなることや、感染している人数が多ければ業務の継続が難しくなる場合が想定されます。
 インフルエンザに感染すると数日間自宅待機となりますが、感染しているのにも関わらず無理に出社した場合は通勤勤務中に感染を広げるリスクがあり、企業内で集団感染が発生するおそれがあります。そのため、集団感染に備えてきちんと対策しておくことが大切です。
 
 集団感染を防ぐためにも、流行前に企業がおさえておくべきポイントについてお伝えします。

流行前に企業が決めておくこと

 一般的に、インフルエンザ発症前日から発症後3~7日間は鼻やのどからウイルスを排出する時期といわれています。この時期は人に感染させるリスクが高まりますが、インフルエンザには出勤停止期間を定める法律がないため、企業のルールを就業規則に定めておく必要があります。

 インフルエンザの欠勤連絡を受ける度に異なる対応になったり、対応の遅れで業務への支障が出ないよう流行前に事前の対策を決めておきたい項目は下記のとおりです。

流行前に決めておきたい項目
出勤停止期間
従業員やその家族がインフルエンザに感染したときの企業への申告方法
有給休暇の当日・事後取得の可否
発熱した従業員へのインフルエンザ検査の命令基準
受診命令した時の賃金支払いや受診料の負担
休業時の連絡方法
業務の引継ぎ方法  など

 インフルエンザに感染した従業員が、出勤停止期間の早い段階で熱が下がり、症状が回復することもありますが、働ける健康状態であっても、感染防止のため企業側から従業員に対して出社を控えてもらうときは休業手当の支払いが必要になります。

 出勤停止期間を検討するうえで、学校保健安全法出席停止期間も参考になりますので、下記、厚生労働省サイト『令和4年度インフルエンザQ&A』(Q17)をご覧ください。
参考:厚生労働省サイト『令和4年度インフルエンザQ&A』(Q17)

休んだときに利用できる傷病手当金

 インフルエンザに感染して仕事ができないとき、社会保険の被保険者傷病手当金の支給対象になります。 協会けんぽの傷病手当金について記載

 傷病手当金とは、業務外の理由による病気ケガで仕事ができず、企業から給与の支払いがないときに、健康保険から生活保障として支給される手当です。支給を受けられるのは、休業している期間が4日以上であり、欠勤した日から最初の3日間(待機期間)は支給されず、4日目から支給されます。

 支給額は下記の計算式で算出した額になります。

傷病手当金の支給額の計算


(出典)
 全国健康保険協会サイト『病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)』

 傷病手当金は、同一の疾病に対して通算1年6か月支給されます。しかし、インフルエンザは原因となるウイルスが複数あるため、感染するたびに「別の疾病」の扱いになり、感染の都度、傷病手当金を受けられます。

有給休暇と傷病手当金のどちらを取得するのか

 同日に、有給休暇傷病手当金の両方を選択することはできません
 どちらを取得するかは企業が一方的に決めることはできず、企業のルールを踏まえた上で、最終的には本人の判断に委ねられます。

 判断のポイントは以下の通りです。支給額支給される日異なります

有給休暇
取得日ごとに1日分の賃金が企業から支給
企業の公休日は有給休暇を取得できないため、賃金は不支給

傷病手当金
1日分の賃金より低い額(上記【傷病手当金の支給額の計算】を参照)
企業の公休日も支給

 有給休暇を事前申請としている企業では、当日申請事後申請を受け付けていないケースもあるため、有給休暇のルールは就業規則を確認ください。

 有給休暇がない従業員に対しては、傷病手当金の申請を進めることになります。有給休暇のある従業員に対しては、待期期間の3日間有給休暇4日目から傷病手当金など組み合わせることもできます。

家族がインフルエンザにかかったとき

 本人ではなく同居している家族がインフルエンザに感染した場合の対応例については下記の通りです。

対応例
一定期間、休業をさせる業務命令の休業になるため、休業手当の支払い
 必要
テレワークが対応可能か検討する
特別休暇を取得させる
本人の希望があれば有給休暇を取得させる
小学校就学前の子供が感染したときは「子の看護休暇」の利用を推奨する
                                 など

インフルエンザの3種類の感染経路

 インフルエンザの感染経路には、飛沫感染接触感染空気感染の3種類それぞれの特徴があります。

飛沫感染
 感染者が、咳やくしゃみをすると飛び散るインフルエンザウイルスを含んだ粒子(飛沫)を吸い込むことによって感染します。この飛沫は、感染者から1~2メートル以内にしか飛び散りません。

接触感染
 インフルエンザウイルスを含んだ飛沫が付着した感染者の手・ドアノブ・机などに健康な方が手で接触し、その手で目・鼻・口などに触ると感染します。乾燥した場所などウイルスにとって好ましい場所の場合、ウイルスが24時間程度生きていることがあります。

空気感染
 インフルエンザウイルスの飛沫が乾燥することでさらに小さな粒子となって空気中に漂い、この飛沫を吸い込むと感染します。

感染予防のための企業内周知

 何より、インフルエンザに感染しないことが大切です。
 1人1人が「感染しない」「感染させない」意識を持ち、咳エチケット手洗いなど企業内において感染予防の徹底をおすすめします。

 疲労が溜まっていたり、睡眠不足のときは免疫力が低下します。普段から十分な睡眠バランスのよい食事を心がけることで免疫力も高まり、感染予防に繋がります。

 厚生労働省の「今冬のインフルエンザ総合対策」のサイトでは、感染防止ワクチンなどの情報がまとめて掲載されており、予防啓発のためのポスターも用意されていますので参考にご覧ください。

参考:厚生労働省サイト『令和4年度 今冬のインフルエンザ総合対策について』
参考:厚生労働省『咳エチケット』
参考:厚生労働省『正しい手の洗い方』


まとめ

 インフルエンザは感染力も強く、毎年約10人に1人が感染しています。

 インフルエンザで急に欠勤する従業員が出たときのため、業務の引継ぎ連絡方法など事前に対応策を準備しておくことで、業務を継続し従業員の不安も軽減されることに繋がります。

 A社会保険労務士法人では、就業規則の作成及び見直し、変更についてのご相談、傷病手当金などの各種申請有給休暇の管理を含む勤怠管理システムの導入支援その他助成金の活用など様々なご相談を受け付けております。

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