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【京都の社労士コラム】令和7年4月からの法改正について

2025年03月26日

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A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。

 このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。

 今回は、『令和7年4月からの法改正』についてご案内いたします。

 令和7年、労働・雇用・社会保障など、多岐にわたる分野で法改正が予定されています。これらの改正は、企業の労務管理や従業員の働き方に大きな影響を与える可能性があります。
 人事・労務担当者が各改正の内容を正確に理解し、適切な対応を講じる必要がありますので以下ご紹介いたします。


育児介護休業法の改正

 男女ともに仕事と育児・介護を両立できるようにするため、育児介護休業法および次世代育成支援対策推進法の改正が行われます。これにより、育児期の柔軟な働き方を実現するための措置の拡充や、介護離職防止のための雇用環境整備、個別周知・意向確認の義務化などが実施されます。これらの改正は、2025年4月1日に次の表の①から⑨が施行され、同年10月1日の2回に分けて施行される予定です。

【令和7年4月1日施行分】
① 子の看護休暇の見直し  義務就業規則の見直し



改正の詳細については、過去のメルマガで取り上げておりますので、以下のリンクからご確認ください。

【2月27日配信メルマガ】
必見!!育児・介護休業法の改正が4月1日から段階的に施行されます。


② 所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大 義務就業規則の見直し
③ 短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワーク追加 選択する場合就業規則等の見直し
④ 育児のためのテレワーク導入 努力義務就業規則の見直し
⑤ 育児休業取得状況の公表義務適用拡大 義務(従業員数300人超の企業)
⑥ 介護休暇を取得できる労働者の要件緩和 労使協定を締結している場合就業規則等の見直し
⑦ 介護離職防止のための雇用環境整備 義務
⑧ 介護離職防止のための個別の周知・意向確認等 義務
⑨ 介護のためのテレワーク導入 努力義務就業規則の見直し

【令和7年10月1日施行分】
① 柔軟な働き方を実現するための措置等 義務就業規則の見直し
② 仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮 義務
【参考】育児・介護休業法 改正ポイントのご案内|厚生労働省


育児休業給付金の延長手続きが厳格化

 令和7年4月から保育所等に入れなかったことを理由とする育児休業給付金の支給対象期間延長手続きが変わります。
 これまでは、保育所等の利用を申し込んだものの、当面入所できないことについて、市区町村の発行する入所保留通知書などにより延長の要件を確認していましたが、令和7年4月より、これまでの確認に加え、保育所等の利用申し込みが、速やかな職場復帰のために行われたものであると認められることが必要になります。
 
必要な書類 ① 育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書
② 市区町村に保育所等の利用申し込みを行ったときの申込書の写し
③ 市区町村が発行する保育所等の利用ができない旨の通知(入所保留通知書、入所不承諾通知書など) 
【参考】2025年4月から保育所等に入れなかったことを理由とする育児休業給付金の支給対象期間延長手続きが変わります|厚生労働省


雇用保険法の改正

 1.令和7年度 雇用保険料率について
令和7年4月1日から令和8年3月31日までの雇用保険料率は以下の通りです。

【参考】令和7年度 雇用保険料率のご案内|厚生労働省
 

 2.「出生後休業支援給付」と「育児時短就業給付」の創設
 育児休業等給付として、子の年齢や養育の状況に応じて、要件を満たす場合に出生時育児休業給付金、育児休業給付金、出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金が支給されます。
 出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金は、令和7年4月1日から創設される給付金です。
 
① 出生後休業支援給付金 共働き・共育てを推進するため、子の出生直後の一定期間に、両親ともに (配偶者が就労していない場合などは本人が)、14日以上の育児休業を取得した場に、出生時育児休業給付金または育児休業給付金と併せて 「出生後休業支援給付金」を最大28日間支給されます。 
【参考】2025年4月から「出生後休業支援給付金 」を創設します|厚生労働省
② 育児時短就業給付金 仕事と育児の両立支援の観点から、育児中の柔軟な働き方として時短勤務制度を選択しやすくすることを目的に、2歳に満たない子を養育するために時短勤務(以下「育児時短就業」という。)した場合に、育児時短就業前と比較して賃金が低下するなどの要件を満たすときに支給されます。
【参考】2025年4月から「育児時短就業給付金」を創設します|厚生労働省


【参考】育児休業等給付について|厚生労働省

 3.自己都合退職者の給付制限期間の見直し
 雇用保険の被保険者が正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合には、基本手当の受給資格決定日から7日間の待期期間満了後1~3か月間(※)は基本手当を支給されません(「給付制限」といいます)。
 ※ 退職日が令和7年4月1日以降である場合は原則1か月同年3月31日以前である場合は原則2か月です。
   ただし、退職日から遡って5年間のうちに2回以上正当な理由なく自己都合退職し受給資格決定を受けた場合、給付制限は3か月となります。
   また、自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇(重責解雇)された場合、給付制限は3か月です。
  
【参考】雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)の概要|厚生労働省

令和7年4月以降にリ・スキリングのために教育訓練等を受けた(受けている)場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できるようになります。
【参考】令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます|厚生労働省

 4.高年齢雇用継続給付の給付率の引き下げ
 高年齢雇用継続給付は、高年齢者の就業意欲を維持、喚起し、65歳までの雇用の継続を援助、促進することを目的とし、60歳到達等時点に比べて賃金が75%未満に低下した状態で働き続ける60歳以上65歳未満の一定の雇用保険一般被保険者に給付金を支給する制度です。
 令和7年4月1日から以下の通り、高年齢雇用継続給付の支給率が変わります。

  令和7年3月31日以前の方:各月に支払われた賃金の15%(従来の支給率)を限度として支給。
                        
  令和7年4月1日以降の方:各月に支払われた賃金の10%(変更後の支給率)を限度として支給。
【参考】令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します|厚生労働省


貨物軽運送の「安全管理者」選任義務化

 近年、EC市場の拡大により宅配便の取扱個数が増加し、軽自動車による運送需要も拡大しています。一方で、平成28年から令和4年にかけて事業用軽自動車の死亡・重傷事故件数が約5割増加しました。これを踏まえ、令和6年5月15日に関連法が改正・公布され、貨物自動車運送事業輸送安全規則についても必要な改正が行われました。
① 貨物軽自動車安全管理者の選任と講習受講の義務付け 貨物軽自動車運送事業者(バイク便事業者は除く)に対して、営業所ごとに「貨物軽自動車安全管理者」を選任し、講習の受講を義務付けるほか、当該選任時には運輸支局等を通じて国土交通大臣への届出を行うことを義務付けます。
② 業務記録の作成・保存の義務付け 貨物軽自動車運送事業者(バイク便事業者は除く)に対して、毎日の業務開始・終了地点や業務に従事した距離等の記録の作成及び1年間の保存を義務付けます。
③ 事故記録の作成・保存の義務付け 貨物軽自動車運送事業者に対して、事故が発生した場合、その概要や原因、再発防止対策等の記録の作成及びこれらの記録の3年間の保存を義務付けます。
④ 国土交通大臣への事故報告の義務付け 貨物軽自動車運送事業者に対して、死傷者を生じた事故等、一定規模以上の事故について、運輸支局等を通じて国土交通大臣への報告を義務付けます。
⑤ 特定の運転者への指導・監督及び適性診断の義務付け 貨物軽自動車運送事業者(バイク便事業者は除く)に対して、特定の運転者(※)への特別な指導及び適性診断の受診を義務付けるとともに、運転者の氏名、当該運転者に対する指導及び当該運転者の適性診断の受診状況等を記載した貨物軽自動車運転者等台帳を作成し、営業所に備え置くことを義務付けます。
(※)事故惹起運転者、初任運転者、高齢運転者
【参考】国土交通省


障害者雇用の除外率の引き下げ
 
 障害者雇用率制度は、企業に一定割合の障害者雇用を義務付ける制度です。一方、除外率制度は、特定業種の雇用義務を軽減する仕組みですが、令和7年4月1日から以下の通り10%引き下げられます。これにより、企業の雇用義務が増加します。

【参考】障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について|厚生労働省


一般事業主行動計画の策定・変更の仕組みの改正

 一般事業主行動計画(以下「行動計画」)とは、次世代育成支援対策推進法(以下「次世代法」)に基づき、企業が従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むに当たって、(1)計画期間、(2)目標、(3)目標達成のための対策及びその実施時期を定めるものです。
 
令和7年4月1日からは、従業員数101人以上の企業は、育児休業等の取得状況や労働時間の状況把握、改善すべき事情の分析をすることが義務付けられます。
【参考】一般事業主行動計画の策定・届出等について|厚生労働省

 
まとめ
 令和7年4月1日より多岐にわたり法改正があります。違反や対応の遅れは、トラブルや罰則の原因となる可能性があるため、早めの準備や手続きの確認を進め、適切に対応しましょう。


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