勤務年数によって付与日数が異なるなど個別の管理が必要なほか、平成31年4月より有給休暇日数が10日以上付与される全ての労働者に対し、毎年5日間有給休暇を取得させることが必要となり、より一層正確な有給休暇の管理が求められています。
夏季休暇や冬季休暇など、従業員が一斉にまとまったお休みを作ることが難しい事業所であっても、有給休暇の計画的付与を活用し夏休みや冬休み、大型連休を設定することが可能です。
有給休暇の取得が義務化された中、5日取得の達成と従業員のリフレッシュにも効果のある、計画的付与制度をぜひご活用ください。
有給休暇の計画的付与とは
年次有給休暇のうち、5日を超える分については、労使協定を結べば、計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度のことをいいます。 |
年次有給休暇の計画的付与は、
年次有給休暇の付与日数すべてについて認められているわけではありません。それは、従業員が病気その他の個人的事由による取得ができるよう指定した時季に与えられる日数を留保しておく必要があるためです。
日数は従業員ごとに決められるの?
年次有給休暇の計画的付与制度は、
①企業もしくは事業場全体の休業による一斉付与方法、
②班・グループ別の交替制付与方法、
③年次有給休暇付与計画表による個人別付与方法など
さまざまな方法で活用されています。
企業、事業場全体を一斉に休みにできる、もしくは一斉に休みにした方が効率的な業態については、
全従業員に対して同一の日に年次有給休暇を与えるという一斉付与方式の導入が考えられます。製造部門など、操業をストップさせて全従業員を休ませることのできる事業場などでは、このような活用方法が取られることが多いようです。
また、企業、事業場全体を休みにしても
顧客に迷惑にならないような時期に、この一斉付与方式を導入するケースが多くなっています。
企業、事業場で一斉に休みを取ることが難しい業態については、班・グループ別に交替で年次有給休暇を付与する方式の導入が考えられます。流通・サービス業など、
定休日を増やすことが難しい企業、事業場では、このような活用方法が取られることが多くなっています。
年次有給休暇の計画的付与制度は、
個人別に導入することができます。夏季、年末年始、ゴールデンウィークのほか、
誕生日や結婚記念日など従業員の個人的な記念日を優先的に充てるケースも多いようです。
夏季休暇や、冬季休暇が会社全体として設定することが困難な場合であっても
個別に大型連休を設定することが可能です。
活用事例① 公休と合わせて大型連休とする
<夏季、年末年始に年次有給休暇を計画的に付与し、大型連休とします>わが国では、盆(8月)、暮(年末年始)に休暇を設けるケースが多く、これらの休暇に計画的付与の年次有給休暇を組み合わせることで、大型連休とすることができます。
(出典:
厚生労働省リーフレット)
この方法は、
企業もしくは事業場全体の休業による一斉付与方式、
班・グループ別の交替制付与方式に多く活用されています。
活用事例② 飛び石の休日を連休とする
<ブリッジホリデーとして3連休、4連休を設けます> 暦の関係で休日が飛び石となっている場合に、休日の橋渡し(ブリッジ)として計画的付与制度を活用し、連休とすることができます。
(出典:
厚生労働省リーフレット)
このように、ブリッジホリデーとして休日が飛び石となっている合間に年次有給休暇を取得させることは、
事前に年単位で休日、休暇の計画を立てることを可能にします。
この方法は、
企業もしくは事業場全体の休業による一斉付与方式、
班・グループ別の交替制付与方式に多く活用されています。
計画的付与導入に必要な手続きは?
年次有給休暇の計画的付与制度を導入する場合には、まず、
就業規則に年次有給休暇の計画的付与について定めることが必要です。
<規定例>
第●●条●項 (前項の規定にかかわらず、)労働者代表との書面による協定により、各労働者の有する年次有給休暇日数のうち5日を超える部分について、あらかじめ時季を指定して取得させることがある。
|
※年次有給休暇の規定部分を改定します。
実際に計画的付与を行う場合には、就業規則の定めるところにより、労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者との間で、
書面による協定を締結する必要があります。なお、この労使協定は所轄の労働基準監督署に
届け出る必要はありません。
<労使協定で定める項目>
計画的付与の時季に育児休業や産前産後の
休業に入ることが分かっている者や、定年などあらかじめ
退職することが分かっている者については、労使協定で
計画的付与の対象から外しておきます。
年次有給休暇のうち、
少なくとも5日は労働者の自由な取得を保障しなければなりません。したがって、
5日を超える日数について、労使協定に基づき計画的に付与することになります。
<事業場全体の休業による一斉付与の場合>具体的な年次有給休暇の
付与日を定めます。
<グループ別の交替制付与の場合>グループ別の具体的な年次有給休暇の
付与日を定めます。
<年次有給休暇付与計画表による個人別付与の場合>計画表を作成する時期と
その手続き等について定めます。
事業場全体の休業による
一斉付与の場合には、
新規採用者などで5日を超える年次有給休暇がない者に対しては、次の
いずれかの措置をとります。
・一斉の休業日について、
有給の特別休暇とする。
・一斉の休業日について、
休業手当として平均賃金の60%以上を支払う。
あらかじめ
計画的付与日を変更することが予想される場合には、労使協定で
計画的付与日を変更する場合の手続きについて定めておきます。
<具体的な規定例や労使協定の書き方はこちらからご確認いただきけます。>
有給休暇日数はどうやって確認するの?
勤続年数が同じの従業員であっても、週の所定労働日数によって付与日数が変わるので個別の管理が必要です。従業員ごとの働き方を確認して、下記表で日数を確認します。
(出典:
厚生労働省リーフレット)
有給休暇日数を管理しましょう。
「年次有給休暇管理簿」とは、時季、日数及び基準日を労働者ごとに明らかにした書類で、労働者名簿または賃金台帳とあわせて調製することも可能です。
(出典:
厚生労働省働き方・休み方改善ポータルサイト)
また、必要なときにいつでも出力できる仕組みとした上で、
システム上で管理することも差し支えありません。
最後に
A社会保険労務士法人では
、有給休暇の管理も可能な勤怠システムのご提案や、
計画付与に向けた就業規則の改訂・協定書の作成が可能です。
有給休暇についてお困りの際はぜひご相談ください。
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