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【京都の社労士コラム】2024年4月から労働条件明示のルールが変わります

2023年04月13日

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 A(エース)社会保険労務士法人の足立徳仁です。
 このコラムでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや法改正情報、助成金・補助金などの新着ニュースをお届けしてまいります。

 本日は「労働条件の明示」についてです。

 2024年4月1日から労働契約の締結・更新のタイミングの労働条件明示事項が追加されますが、その詳細を定める通達等が先日発出されました。
 労働基準法第15条では、使用者(雇用主)には雇用契約締結時における労働条件の明示義務について定められています。
 
 今回は、法令で定められている明示事項の内容について
そして2024年4月から追加される明示事項について解説します。

参考:労働条件明示改正リーフレット(厚生労働省)

労働条件の明示義務

労働基準法 第15条
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

 使用者には、労働者と新たに雇用契約を締結する際に賃金や労働時間、休日の規定等の労働条件を書面などで明示する義務があります。これは、雇用契約締結後の労使トラブルを防止し、不当な労働から労働者を保護するための決まりです。明示義務を怠った使用者に対しては30万円以下の罰金刑が科されることもあります。

絶対的明示事項」と「相対的明示事項

 労働基準法施行規則は、明示の具体的な範囲と方法(書面の交付が必要か、口頭でも足りるか)について定めています。これを整理すると、次のとおりとなります。

 絶対的明示事項とは、雇用契約書や労働条件通知書を用いて必ず書面上で明示しなければならないもので、以下の項目が該当します。
昇給に関する事項のみ口頭でも可能とされています。
 絶対的明示事項
・労働契約の期間
・労働契約更新の基準
・就業場所及び従事する業務の内容
・労働時間、残業、休憩時間、休日、休暇に関する事項
賃金の支給額、計算方法、締め日、支払日、支払い方法
・退職、及び解雇の事由と手続き方法
・昇給に関する事項 ※口頭でも可能
 なお、2019年の法改正により、現在では電子メールやFAXを用いた労働条件の明示も認められています。ただし、その実施には制限もあり、運用には注意が必要です。
参考:FAX・メール・SNS等での労働条件の明示について(厚生労働省)

 相対的明示事項とは、使用者(雇用主)がその規定を定めた場合に明示しなければならない項目のことで、以下の8項目については口頭での明示が許されています。
相対的明示事項
・退職金に関する事項
・臨時に支払われる賃金(賞与)に関する事項
・食費や作業用品など社員が負担すべき費用についての事項
・安全及び衛生に関する事項
・職業訓練に関する事項
・災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
・表彰と制裁に関する事項
・休職に関する事項

パートタイマーに関する特則

 上記の明示事項に加えて雇用する労働者がパートタイマーである場合、パートタイム労働法第6条に基づいた項目を書面により明示しなければなりません。明示義務があるのは以下の4項目です。
・昇給の有無
・退職金の有無
・賞与の有無
・相談窓口※
※相談窓口とは、パートタイマー・有期雇用労働者の処遇等に関する相談に応じる窓口

2024年4月から新しく追加される明示事項

①すべての労働契約の締結時と有期労働契約の更新時

1.『就業場所・業務の変更の範囲』

全ての労働契約の締結と有期労働契約の更新のタイミングごとに、「雇い入れ直後」の就業場所・業務の内容に加え、これらの「変更の範囲」 についても明示が必要になります。
※「変更の範囲」とは、将来の配置転換などによって変わり得る就業場所・業務の範囲を指します。

②有期労働契約の締結時と更新時

2.『更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容』

有期労働契約の締結と契約更新のタイミングごとに、更新上限(有期労働契約の通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容の明示が必要になります。
※併せて、最初の労働契約の締結より後に更新上限を新設・短縮する場合は、その理由を労働者にあらかじめ説明することが必要になります。

③無期転換ルール※に基づく無期転換申込権が発生する契約の更新時

3.『無期転換申込機会・無期転換後の労働条件』

「無期転換申込権」が発生する更新のタイミングごとに、無期転換を申し込むことができる旨(無期転換申込機会)の明示と無期転換後の労働条件の明示が必要になります。
※併せて、無期転換後の労働条件を決定するに当たって、就業の実態に応じて、正社員等とのバランスを考慮した事項について、有期契約労働者に説明するよう努めなければなりません。
※無期転換ルールとは‥
 無期転換ルールは、同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が5年を超えて更新された場合、有期契約労働者(契約社員、アルバイトなど)からの申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるルールのことです。有期契約労働者が使用者(企業)に対して無期転換の申込みをした場合、無期労働契約が成立します(使用者は断ることができません。)。
参考:無期転換ルールについて(厚生労働省)

モデル労働条件通知書の改正イメージ

厚生労働省で公表されているモデル労働条件通知書のイメージです。
施行までにQ&Aなども公開されるのではないかと思われます。追加の情報も待ちながら準備を進めましょう。
参考:モデル労働条件通知書の改正イメージ


参考動画(2分19秒)是非ご覧ください!
 <画像をクリックすると動画を視聴できます>※倍速視聴も可能です。


まとめ

 貴社の「雇用契約書」「労働条件通知書」は法定の明示事項が正しく記載されていますでしょうか。この機会に改めて見直しをしてみて下さい。
 労働条件の通知(明示)は、労働者に対して、就業前に提供されるべき重要な情報です。労働者を保護して労使トラブルを回避するための取り決めでもあります。使用者(雇用主)にとっても就業後の認識のすれ違いを防止すると共に、労働者に長く務めてもらうため欠かすことはできません。労働条件の明示は使用者(雇用主)の義務ですので、法令を遵守して適切に実施しましょう。

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